読み込み中...トルコリラがまたしても大きく下げ始めています。経済的な問題も大きいわけですし、政治的な混乱もエルドアンが大統領をやっているかぎり収まるとは思えない状況です。
この原稿を書いている段階ではまだ17円台を維持していますが、それでも1月3日のフラッシュクラッシュの下値を抜けてき始めているわけですからかなりの下落であり、スワップが多くつくといってもすでに我慢できるレベルではなくなっているのが現状です。
■トルコリラ円日足
もともと為替というのは金利のスワップで稼ぐものであったことは確かなのですが、世界的な低金利の中にあっては高金利通貨国というのはそれなりの理由を抱えていることは間違いないわけです。
それが経済と政治の両方のリスクをもつとなると、大きな金額のスワップがつくからというだけで無防備にロングをとることには相当な危険性があることを認識しなくてはなりません。
ここのところトルコリラの取引額が本邦個人投資家の間でも大きくなったことから、トルコの経済指標についても注目が集まるようにはなっていますが、トルコ中銀の政策もよくみると結構めちゃくちゃですし、とてつもないインフレ率となっているわけです。
貨幣の価値が上がるわけはなく、トルコ国民が必死でユーロやドルに両替しようとする最中にスワップだけに目がくらんでロングを続ける本邦個人投資家というのは冷静に考えると相当滑稽な存在といえます。
本当に為替のことわかっています？と真顔で質問したくなるような話であるわけですが、さすがにこれではスワップ狙いでロングをとめどもなく持ち続けるのはやめたほうがいい状況といえそうです。
価格が安いのがロングでのエントリーを増幅している
トルコリラ円はかなり値を戻しても1リラ20円程度ですから、25倍などのレバをかけると非常に安いコストでスワップが毎日転がり込んでくるというのは確かに魅力といえます。
とくに本邦の個人投資家は株、為替に限らず配当のように利益が分配されるのを好みますからそもそもこの形態が人気になりやすい要素を多く持っているのは確かです。
しかし本邦投資家の悪い癖というものも存分に発揮されてしまうのがトルコリラ円ロング取引の大きな特徴で値が下がっても、ほとんどの参加者は損切をしないでそのまま我慢してしまうのです。
足もとではどうかわかりませんが、これまでは値が下がるとドルコスト平均法だなどと言って結果的にはナンピンを繰り返す向きも多かったわけですから、必要以上にリスクが高くなるのは当たり前で、自ら損切をしっかりおいてまさかの暴落の時にも強制ロスカットを下抜けてしまういような事態に遭遇しない手立てを考える必要があるのは言うまでもありません。
国内業者のいい商材
実数は正確に発表になってはいませんが、1月3日のフラッシュクラッシュの時も結局トルコリラ円のロングにストップを置かず、値飛びが起きて強制ロスカットを超えた値、つまり証拠金をはるかに超える損失がでる価格をつけて追証を求められ、支払いができずに未収金の対象になっている個人投資家が実に多いことはあらためて認識しなくてはなりません。
そもそもDD方式の国内業者は本当にカバー先にオーダーを出しているのかどうかまったくわかりませんが、ドル円が動かないなかでそれを補ういい商材になっていることだけは間違いなく、少なくとも顧客の損失は大儲けになる可能性が高いだけに相場の下落段階では顧客に不利に動くことも十分に考えられる状況です。
逆にゼロカット方式を実装している海外の業者を使っているほうがよほど安全かもしれないのがトルコリラであるという点をあらためて考えなおしていただきたいと思います。
もうこれはチャートを見て上がり下がりすることを予想する以前の問題に差し掛かっていると思います。
（この記事を書いた人：今市太郎）
