史上最高の10連休となった今年のゴールデンウイークですが金曜日までなにも怒らなかったことから、安心していたところ6日の未明、トランプ大統領がいきなり10日から2千憶ドル分の関税をいきなり25%に引き上げるとツイートで吠えて見せたことから、6日のアジアオセアニアタイムは大きく窓を開けてスタートすることとなってしまいました。
北朝鮮のミサイル実験もあって何等かの窓開けは覚悟していたものの、結局のところ市場にもっとも大きなインパクトを与えたのはトランプ発言ということになりました。
うまくいっていたのではないのか
米国メディアの報道によれば米中両国政府は1日北京での閣僚級協議を終えたことを発表しており、さらに8日からはワシントンに場を移して協議を継続の見通しと発表されていました。
しかしこの協議ではやはり最大25%の追加関税の扱いが焦点となっていたようで、中国側は合意後すぐに25%追加関税の全廃を望んでいるのに対し米国側はその一部を残したい意向であると伝えられていました。
ライトハイザーUSTR代表は生産的な会合であったなどとは言われていますが、依然溝があることは間違いなさそうな状況で、トランプ発言でやはり交渉が停滞していたことだけは間違いなくなっています。
トランプの首席補佐官代行のマルバーニは、協議は永遠には続かないとも述べていますが、クドローNEC委員長はトランプによる警告であるといった発言もしており、まだ必ずしも実行が決まったわけではなさそうな発言も飛び出していることから、これが決定なのか8日の閣僚級会談を経て回避できるものなのかはまだよくわからないようです。
輸入勢のリーブオーダーでドル円は意外に深堀しない
国内はまだ連休の最終日ということもあってドル円には下値に相当なリーブオーダーがおいてあるようでクロス円の下落に比べますと意外にドル円はしっかりした状況が続いています。
110円を突破して大きく下抜けするためには相当な力が必要な模様でここからは一旦ショートカバーがでることも想定しておきたいところです。
ただ、今後米中の協議が完全に物別れの状態に陥った場合には現状を超える形でリスク回避の円高が進むこともありますから、予断を許さないところに差し掛かっているとも言えます。
連休明け下落を狙って本邦勢が買い上げてくれば、またドル円は上昇することもありえますので、上にも下にも注意が必要です。
NYタイムの株価の動向にも注意が必要
ここからは米国本国の動きを見極めることも必要になりそうです。これで米株が大きく下落することになれば為替への影響もかなり大きなものになることが予想されますが、なんとか回避の可能性が高まればそれほど大きな下落になれずに終わることもありそうで米国市場の反応が気になります。
いずれにしてもトランプはこの間常に米中の交渉がうまく進展しているかのようなことを常に呟いて株価が下げないようにしてきました。
しかし、今回のツイートで必ずしも交渉がうまくいないことが露見してしまいましたし、ライトハイザーが口にしているように構造的協議内容がほとんど進展していないことも想定され、今回の交渉が決裂すると相当先行きは長い交渉へとシフトすることもありそうで、10日の関税率引き上げ実施とともに全体の交渉の行方を確認する必要が重要になりそうです。
2020年の大統領選挙が近づきトランプ自身功を焦り過ぎている感が否めませんが、最悪の事態では株価云々とは関係なしに強行手段に訴える可能性もあるわけですから、とにかく楽観視することなく今後の状況を見守りたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)