先週からとにかく日本の市場が10連休、6営業日連続でお休みになることが大きなリスクとしてとりあげられ、その話に集中する動きになってしまいましたが、実はそれ以上に気をつけなくてはならないのが米国株式市場の「Sell in May」の状況です。
実はこの「Sell in May」という現象はよくよく過去の動きを見渡してみますと4月中に高値をつけて、売り場は4月にあったことが多く5月から6月に向けては下落相場になることが多いことがわかります。
NYダウはここからさらに史上最高値を更新する動きになる可能性もまったくないとは言えませんが、足元のレベルはかなりいい線までやってしまった感があることもまた事実です。
楽観論がこのまま機能するとは思えない相場
大統領選挙の前年にもあたりとにかく米株は崩れないと鼻息の洗いウォール街のミレニアル世代が多く見受けられますが、彼らはとにかく会社の金で投資を行っているわけです。
仮に大損しても首になるだけで特別罪に問われるわけでもなく、大きなボーナスを獲得しようと思うなら常に全力疾走で相場を買い向かうのが基本となっていることを忘れてはならない状況です。
個人投資家の我々は資金を失えば自らの証拠金の原資を減らすことになるわけですから、一切のリスクを無視するわけにはいきません。
2018年以降の米株はそれなりにボラティリティが大きくなっていますからとにかく「Buy & Hold」だけで乗り切れる相場でないことは確かで、サイクル的にここからそれなりの押しがあってもおかしくはない時間帯に差し掛かっていることはしっかり認識しておく必要があります。
実際の米株相場は規制がかかる前に滑り込みで自社株買いを行おうとする企業とIPO関連で株買いする向きが相場を支えています。
多くの投資ファンドはこの高いレベルから株を買い向かおうとしておらず、2018年1月あたりの相場状況に比べて飛躍的に地合いがよくなっているわけではない点にかなり注意が必要です。
暴落はないにせよそれなりの循環は覚悟が必要
現状ではいきなり暴落するような状況ではなさそうですが、このコラムでもご紹介しているとおり投機筋はほとんどパッシブ運用に終始していることから相場が下がりだすと自動的に損切を入れ始めることになり、その連鎖がかなり大きな下落を引き起こすリスクが常に高まっているといえます。
日常的にはCTAのアルゴリズムが無闇に売り買い重ねていることからそれなりの流動性が確保されているように見えますが、実のところは下落がはじまるといきなり流動性が枯渇してパニック相場になりかねないのが足元の米株相場であるという指摘も非常に多くなっています。
一旦は短期的な高値を迎えた米株がここからそれなりに沈み込むことは誰しもが予想しうる近未来の状況であり、アルゴリズムの最近の傾向として突然動きだすだけに油断は禁物です。
ファンド勢は売り時を探している
多くの投資ファンドは今の米株相場に買いでエントリーすることはなく、殆どが下落のタイミングを推し量っているといわれています。皆が売りを画策しているときは逆に下がらない可能性も十分にあるわけですが、それだけ市場は先行きを楽観視していないことがよくわかります。
もはや独自の市場としては大きな動きを見せないFXの世界では特にドル円が米株の影響を受けやすいだけに、ゴールデンウイークが終了するからといって気をかないほうがよさそうな状況です。
米国の相場下押しはむしろここからが本番になろうとしているわけですから、5月二週目からの相場も相当注意が必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)