3月には何等かの決着がつくと思われた米中貿易協議ですが、どうもすんなりと進行しているわけではないようで、4月にもさっさと型が付くことを期待するのにはかなり無理がでてきていることが徐々に明らかになりつつあります。
中国共産党政権に近い香港メディアは、すでに米中首脳会談は6月開催の可能性を報じており、もはや4月の開催もあり得ない状況になりつつあるようです。
一方米系メディアのブルームバーグは4月下旬開催の見込みを報じていますが、果たしてどちらの報道が正しいのかがここからの動きで判明することになるものと思われます。
中国は次の習近平の訪米で国賓として公式訪問ができるように要求しているともいわれており、米朝首脳会談のように土壇場で梯子を外されてメンツ丸つぶれが起こらないように相当様々な根回しをしていることが窺われます。
時間を稼いで欧州に接近する習近平
すでに報道でご存知のように習近平は26日までの日程でイタリア、モナコ、フランスなどの応酬3か国を公式訪問し、しきりに欧州に接近することで米中の力関係にも影響を与えようとして画策していることが垣間見られるわけです。
実際のところどこまで中国が米国に対して折れるつもりがあるのかは報道だけでははっきりわからないのが実情となってしまっています。
しかし、ITや知財など問題部分がかなり絞られてきているようで、果たして進展がみられるのかほとんど合意のめどがないままに首脳会談の開催がどんどん後ずれすることになるのかにも関心が集まります。
米中関係改善で簡単に株価が上昇するようは状況ではない
3月までに何等かの決着がつけば相場の上昇にはプラスに働くことが予想されましたが、どうも足元の状況はそんなに甘いものではなさそうで、米国が中国に対して要求しているクラウドサービス企業に対する差別待遇の改善、データの保管や移転規制緩和について中国側はまったく譲歩する姿勢を見せていないことから、交渉がかなり難航していることをうかがわせる状況になっています。
ホワイトハウスは3月28,29日にライトハイザー、ムニューシンの両氏が北京入りするのをはじめ、翌週の4月3日からもワシントンで引き続き集中議論を行う予定です。
あくまで先に進める意向を示していますが、これがうまくいきませんと合意はかなり先延ばしなることも予想されます。
両国とも交渉を継続させているのは不幸中の幸いといえますが、ライトハイザーURST代表はとにかく構造的な問題が解決しないかぎり合意はあり得ないとかなり強気を維持しており、トランプの姿勢とも異なるものがあることから、米国政府内で調整がつくのかどうかも気になるところです。
米国企業の決算発表にも影響は明確に示現する見込み
4月以降はいよいよ米国企業の決算発表が行われますが、事前予想でみても決して状況はよろしくないようで、押しなべて低調な決算が出る可能性は高く、それだけでも株価を押し下げる大きな要因になりそうで、米国の対中の関税攻撃などが長引けば株式市場にさらなる悪影響がでることも視野に入れる必要がありそうです。
事前段階からそう簡単に交渉が進むとは思われませんでしたが、ちょっと明るい兆しの報道がでるたびに相場が楽観視してしてきたことは間違いなく、この巻き戻しが大きく出ることになると為替にも相当な影響がでそうです。
BREXITもそうですが、テーマはわかっていても進捗がはっきりせず、どういう決着がつくのかなかなか事前予想が当たらない状況では相場は上下に振れるばかりで取引タイミングとしては決していいものではなくなってしまいます。
それだけにこの材料を巡っての相場の反応にも相当注意を払う必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)