相変わらずポンド以外FX相場は殆ど動きがない厳しい日々が継続中ですが、ほかの個人投資家さんは一体どうされているのでしょうか。
国内のFX業者の団体である金融先物取引業協会が発表した2月の国内FX取引状況の速報を見ますと、動かない相場の中で国内の個人投資家は取引を大幅に手控えていることがはっきりと見えてくる状況です。
出来高激減は鮮明な状況
まず出来高で見ますと店頭業者は245兆2328億円と1月から実に35.7%弱も減少しており、もともと市場規模の大きくない取引所取引でもマイナス27.5%強とかなり低調に推移していることがわかります。
通貨ペア別の推移は以下の通りになりますが、国内の個人投資家のドル箱的存在であるドル円の取引が前月比でマイナス42.76%と大きく減少しており、BREXIT騒動で多くの投資家がポンド取引をしているともされましたが、ポンドドルも前月比マイナス22.25%で決して増えていないことがあらためてわかりました。
■2019年2月 主要通貨ペア月間取引状況
そもそも誰も取引しないわけですから、ショートが溜まり過ぎてショートカバーがでるはずもなく、為替相場の全体取引の1割程度を占めてきた実需次第で相場が動いていることを改めて認識させられる状況となっています。
たしかに1日見ていてもドル円で20銭と動かないのではスキャルピングすらしかけるのが難しいのが実情で、「閑散に売りなし」で上げもしないが下げもしないという足元の状況がなぜ生まれているのかはかなり理解しやすくなっているといえます。
ドル円に関しては相当エネルギーが溜まった状態
このデータは本邦の個人投資家を対象とした数値に過ぎませんから、投機筋などの取引額が減っていることも容易に予想されるわけで、為替市場全体に必要な実需以外は積極的な取引が手控えられていることが透けて見える状況です。
ドル円に関して言いますと、週足で依然として大きな三角持ち合いの中に入り込んでおり、正月早々に瞬間にした抜けていますが、いったんこの三角の中にもどってきて3月中盤を迎えている状況です。
■ドル円週足250週
したがっていずれどこかのタイミングで上か下に大きく抜けることが予想されますが、まだ数週間から数か月この三角の中で推移することも十分に考えられる状況です。
4月に入りますといよいよ日米通商協議もスタートすることになりますから、上方向に大きく抜けるというよりは下方向に抜けて走り始めることも十分に考えられ、4月の交渉タイミング次第では史上初の10日間連休の間に、仕掛け的に再度大きく下抜けることも想定しておく必要がありそうです。
いまのところ力を蓄積しているように見えますので、今しばらく我慢が必要なようですが動き出すと結構大きな動意を期待することもできそうです。
ポンドは思ったほどの取引がでていない
もともと本邦の個人投資家はポンド円の取引に結構力を入れる向きも多いようですが、やはり日ごろからやりなれていないところにもってきて、要人の政治的な発言で大きく上下する上に、最近ではなにがあってもショートカバーで大きく上昇するようになってきているため、売りからエントリーしているユーザーが悉く担ぎ上げられて損切を余儀なくされている点も参加者を減らす要因になっているものと思われます。
たしかに動かない相場の中にあって、唯一5円幅程度で上下するわけですから、しっかりとっていかれればこんなに面白いことはないわけです。
しかし、着地点もはっきり見えないとなると売買に参加すること自体が冒険の域に入り込んでおり、間違ったと思ったら躊躇なく損切するぐらいのメリハリのある取引で利益を伸ばしていくことができませんと、なかなかこの相場の中では生き残れないのが実情なのだろうと思われます。
とにかく足元の相場はこんな状況でだれも儲かっているわけではありませんので、焦る必要もイラつく必要もありません。ゆったりと構えて次なる大幅な動意に備えて投資資金を闇雲に減らさない努力をすることが今のところもっとも重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)