この3か月というもの、市場でもっともよく動いたのはポンドで、本邦の個人投資家もボラティリティがあるということから、多くがポンド円の取引に専念しているようです。
しかし要人発言が飛び出せばすぐに下落しますし、ちょっと明るい見通しが報道のヘッドラインを踊ればポンド円は大きく上昇するといった具合です。
プライスアクションを見ながらスキャルピングやデイトレを続ければ、ある程度の勝率を誇ることでそれなりの利益にありつくこともできるのでしょうが、ポジション作って一定期間保有し続けるのはかなりリスクが伴うことになっております。
ゼロサムゲームのFXではポンドにかかわったから皆が儲かったというわけではない悲喜こもごもの状況が継続中のようです。
■ポンド円5分足
議会では何も進んでいない結局のところメイ首相がEUと協議して修正してきた離脱合意案も否決されましたが、合意なき離脱も議会はNOを突きつけることとなり、このままでいけばBREXITの期限を延期することだけが決まり、5月23日のEUの選挙前にまた決着しなくてはならないという単なる先送りに終始する動きが続きそうです。
2年9か月ほど前にいきなり国民投票を実施し結論だけ先に出してしまったBREXITのディールが果たしてどのように進んでいくのかは個人的にも非常に興味がありました。
しかし、結果から言えばなんら進行することもないままに無駄な時間を消費してしまい、議会も全く方向感がないままにDue Dateを迎えてしまうというもっとも体たらくな展開となってしまったわけです。
企業はもう待っていられない状況
こうした中で英国内で製造を行っている自動車メーカーは続々と英国からの撤退を決めていますし、金融機関も英国からの脱出を決めるところがでており、結果が判明する前にリスクヘッジで英国から撤退する企業が多くなっている点は非常に気になるところです。
いまのところ再国民投票も実施されることはなさそうですから、離脱自体をやめるという選択肢は顕在化してきていませんが、このBREXIT騒動はどう決着がついても英国経済にネガティブな影響をもたらすことはほぼ間違いないところにさしかかってきており、早晩ポンドは大きく売られることになる運命にあるのではないでしょうか。
大きな戻り売りに勝算ありか
2016年のBREXITの国民投票の時もそうでしたが、結局最後まで粘って戻したところを売った向きがもっとも大きな利益にありつくことができているわけで、今回もこのドタバタ劇の最後にこうした大きくとれる瞬間がやってくるのではないかと予想します。
もちろん為替市場のことですから相場がショートに傾きすぎればある程度のショートカバーがでることは容易に想像できますが、この最終局面ではポンドが大きく売られてお仕舞になる可能性がかなり高そうです。
ここ数年のFX取引の中ではこのBREXIT騒動がもっともレベルが低く、国民投票の話が持ち上がった6年前からなんら進んでいないなかでメリット、デメリットをはっきり認識させることがないままに移民の流入だけをフォーカスして、いきなり投票を実施してしまったという点では与党保守党のミスリードは日を見るよりも明らかでその責任は重大といえます。
国民のほとんど、下手をすれば議員のほとんどもBREXITにより英国が被る本質的な損失の規模をよく理解していないように見え、決定的な問題が顕在化してくるのはまだまだこれからになりそうな雰囲気です。
当然のことながら金融市場もこの英国のリスクを十分に織り込んでおらず、相場が下落するのはまだまだこれからの状況です。ここまでくればもう慌てずに顛末を見届けて最後に大きな売買にエントリーしたいところです。他国のこととはいえ政治の劣化は目に余るものがあります。
(この記事を書いた人:今市太郎)