12月の大幅下落相場から一転猛然と上昇してきたNYダウがここへきてさすがに息切れしはじめています。
この上昇相場、年末にトランプ政権のムニューシン財務大臣が急に招集した金融作業部会が行ったPKOに一定の成果がでて年間の高値の前値戻しまではきたわけですが、さすがに昨年10月の史上最高値を超すほどの材料はなく、これで三尊天井を形成して下落するのかどうかが非常に注目されるところとなってきました。
米株の動きはドル円にも大きな影響を与えるだけに、市場でも非常に高い関心を呼び始めています。
三尊天井はそう頻繁に出るものではない
この三尊天井、為替の世界では比較的よく聞く言葉ですが、週足ベースの株式市場ではそうそう頻繁に登場するものではなく、今回NYダウでこれがしっかり実現することになると、ここからの相場がどこまで下向きに動くことになるのかが非常に気になるところです。
形は悪いですが、一応の三尊を形成しかかっている相場ですから、ネックラインを正式に抜けていくことになると山の高さと同じ分下値を模索するといわれているだけに、果たしてどうなるのかが注目されます。
今のところ三尊の形になりかけてはいますが、再上昇という話もまったくないわけではありませんし、米中貿易協議が3月末にでも一旦解決の方向に向かった場合には、もう一度上を試すこともあるだけに予断を許さない時間帯に入ってきているといえます。
ファンダメンタルズの材料なしでここからさらに買いあがれるのか?
3月まで10週近く上昇したNYダウはもっぱら米国の金融作業部会が奔走して米国の年金による株買いを行ったりした結果であり、自社株買いを目指した企業はこの時期積極的に上昇相場にあわせて買い向かったようです。
しかし、ヘッジファンド勢は持ち株を利益確定させて保有量を大幅に減らしており、決して上昇相場について行こうとする動きは見せていません。また企業業績も世界的に軒並み悪くなってきていますから、この相場の上昇は確固としたファンダメンタルズの裏付けがあって上昇しているわけではないところも気がかりです。
仮にネックラインを下抜けて下落した場合には、相当な下値模索が始まることになりそうですから、これまで正相関でついてきたドル円が反転下落するリスクも高まりそうで、ここからはとにかく米株、とくにNYダウの動きから目が離せない状況になりそうです。
日米通商交渉は結局4月開催か
ライトハイザーUSTR代表の発言で3月には開催かと思われた日米通商交渉はどうやら4月にずれ込んでスタートになりそうな気配です。
となるとちょうど3月中は実需で下がらないドル円も、4月に入ると状況が一転するリスクがありそうで、米株の動きともリンクしてどこかで円高が強く示現する可能性が高まることになります。
市場ではドル高円安の方向を見る人たちもかなり多くなっているようですが、この政治的に翻弄されやすい通貨ペアが何事もなく120円方向に向かうとはなかなか思えないのもまた事実で、少なくとも日米交渉が開始となるあたりから再度ドル安を示現する可能性を考えることが重要です。
ここからはどこが「戻り売り」のタイミングになるかを探る時間帯になりそうです。またここへきてユーロも決して強含める状況ではなくなってきていますので、クロス円でユーロ円がドル円の下落に準じて、さらに大きな動きをすることにも注目していきたいところです。
3月になってようやく動き始めたドル円ですが、まだ大きな動きを示現するのには時間がかかりそうで、マグマをため込んでいる状況ではないかと思われます。
(この記事を書いた人:今市太郎)