ようやく3月に入ってドル円に動きが見られるようになってきました。
8日金曜日、雇用統計の日の東京タイムで日経平均が大幅下落となったことを受けて上昇できなくなったドル円は、その後111円台を割り込む動きとなりましたが、一時的にショートがたまりすぎたこともあり111円台前半で米国の雇用統計を迎えることとなりました。
しかし結果は「2万人増」止まりとなり、市場予想を大幅に下回ったことからドル円は売られ瞬間的に110.875円と久々に110円台まで下落することとなります。ただし、下値ではそれなりの買い需要もあり、結局111円台前半で週の取引を終えています。
ドル円15分足推移
3月一杯はドル買い需要にも注意
3月といいますと本邦は年度末ということもあり、海外からの資金の円転需要も旺盛になることから、どうしても円高になりやすい時期ではありますが、今年は112円台も見ていることからこうした円転需要はすでに、かなりを消化している模様でここからの円買い需要は限定的の模様です。
その一方で「機関投資家」や「邦銀」が裸でドル円を買い向かっている模様で、外債投資のための資金なのか3月中もそれなりの需要がありそうなのには注意が必要です。
ただこうしたドル円の買い需要は本邦サイドからだけしかでていないという情報もあり、常態的にドル円に買いが発生するわけでもありませんか。3月末までで玉切れになれば、いよいよ相場が大きく下落することも視野にいれておいたほうがよさそうです。
NYダウは三尊天井をつけた可能性大
先週NYダウは大きく下落をはじめ、チャート的にはどうも三尊天井をつけた気配が濃厚になりはじめています。となると年末につけた22500ドルレベルを割り込み始めた場合、急激に相場が下落する動きになるリスクが高まることから今月のNYダウの動きにはかなり注意が必要になります。
もちろん月末に開催予定とされている米中首脳会談で何等かの合意にこぎつけることができれば、状況は一変、トランプがツイートで騒いでいるように米株は大きく上昇する可能性も残されていますので断定は禁物です。
ただ直近の米系メディアの情報では月内の習近平の訪米がキャンセルされたという話も出てきていますので、とにかく事実ベースで事態を見守る必要がありそうです。
ドル円は112円台をつけてピークアウトしていますから、どうしてもここからは戻り売りしたくなるところですが、様々な事情からもう一度上を試すこともあり得ない話ではないので、じっくり機会を待つことが今月残り3週間では重要になりそうです。
安倍政権まさかの消費増税延期?
ところで先週内閣府が発表した1月の景気動向指数の基調判断では、景気後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」が示されたことから市場ではリセッション入りしたのではないかという見方がにわかに高まりつつあります。
内閣府といえばGDPを含めて安倍政権下の国家統計を都合よく発表する疑惑の殿堂ですし「いざなみ景気超」という景気拡大の判定会議の結果を決定しているのもこの部門ですから、そこが下方への局面変化を口にしたということは実態経済が相当悪化していることを示唆しているとも考えられ非常に注目されるところとなっています。
これを受けて安倍内閣では総理、財務大臣、官房長官などが次々景気は緩やかに回復基調にあるとオウム返しのような発言をしています。
ただ、月末にむけていきなり消費税率上げを再度延期し国民の信を問うとして衆参同時選挙を実施する旨発表するのではないかという憶測も飛び交いはじめていますので、こちらにもかなりの注意が必要になりそうです。
衆参同時選挙というだけでドル円が上昇するとは思えませんが、消費税率引き上げ再延期が飛び出せば株式市場が好感することは間違いなく、それにひきずられてドル円が上昇する可能性は考えておくべきでしょう。
相変わらず不確定要素が多いこの時期ですが、思わぬ変動要因がとびだしても十分に対応できるように上方向、下方向両方を意識しながら取引をしていくようにしていきたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)