2月はとにかく見事なぐらい殆どの通貨ペアが膠着相場になり、ポンドだけが政治材料で上げたり下げたりしましたが、すでにほかの通貨ペアには影響を与えない状況になりなじめています。
1月正月の暴落で資金を結構失い、2月米中貿易戦争やBREXITの騒動で何かをきっかけにして大きく取り返してやろうと画策した向きは完全に相場期待を裏切られる状況となっています。
動かない相場は個人投資家のせいではありませんから、とにかく英気を養い次のチャンスがくるのをひたすら待つしかないのが正直なところですが、足元の相場状況には確実に異変が起きていることは間違いなさそうで、これをどうとらえるかは非常に重要になりつつあります。
株の高値はだれが買っているのか?
米株は年末の突然の下げから完全に前値戻しをしてしまい、チャート的にはさらに上値を追いそうに見えて仕方ありませんが、半導体の大幅戻しを含めて主要なヘッジファンド勢は積極的にこの戻り相場に参加していないといいます。
むしろ高値に戻ったところで保有ポジションを売って現金化している動きが顕著で、当然為替もそれに準じるかたちで積極的な売買が手控えられている状況です。
さすがにこの状況だけを見てなにか暴落に備えているのかと勘繰るのは気が引けますが、すでに危ないと見た向きが資金を撤退させて様子を見ていることだけは間違いなさそうです。
これが一体何を示唆しているのかを読み取るのは至難の業で、銀行の自己売買部門が人員を減らしたり、一部は閉鎖を決めたりしているのも気味の悪い状況といえます。
もちろん足元の市場ではショートカバー以外にも相場の上昇にあわせてCTA系のアルゴリズムのような存在が買い向かっている可能性はありますが、彼らは実に刹那的な売買をしていますから、トレンドを形成するところまでには至っていないのが現状です。
となるとかなり少ない市場参加者の中で買い向かいがでるとそれに相場が反応しているだけの状態で、これが上昇トレンドになっているとみるのはさすがに拙速な判断の可能性がありそうです。
まったく想定外の材料から相場が崩れるリスク
今年のダボス会議でレイダリオ率いるブリッジウォーターアソシエイツはやたらと欧州市場からリスクが発生するであろうことを強調しています。
確かにドイツもほとんどリセッション入り寸前ですし、欧州域内の各国は決して調子のいい状況ではありませんからドイツがこければいきなり不景気がやってくる可能性は十分に考えられます。
またBREXTIがどうなるかはまだわかりませんが、英国の一連の騒動を見ているとEU離脱で景気が良くなる可能性はまったく感じられず早晩ポンドは売られ英国の経済は深刻な影響を受けそうな気配が濃厚になりつつあります。
粛清とコメルツ銀行との統合の話が浮上したドイツ銀行も決していい経営状態へと改善しておらず、リスクは昨年のままです。米国ではこのコラムでもご紹介したCLO市場がかなり危なくなってきていますし、自動車のサブプライムローンの滞納者が700万人を超えるなどFRBの利上げのネガティブな影響がではじめています。
こうして考えますと3月以降相場に重大な影響を及ぼすのは現状ではっきり可視化されておらずあまり注目もされなかったこうした事象が複合的に問題となって顕在化してくるリスクに備える必要がありそうです。
米中貿易紛争やBREXITなど一定の注意が行き届き始めているような事態で相場が大崩れすることはないと思われますが、なにか違う深刻なテーマが市場を覆うリスクはかなりありそうで、引き続き注意が必要となるのが3月相場なのではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)