週明けの為替市場はいよいよドル円が110円台中盤を超えて上値を試す動きが見えてきますが、その一方でドルはほかの通貨には弱くユーロが買戻しになったりとトレンドでているわけではないので、上下動も様々に発生してなかなかやりにくい相場状況になっているともいえます。
米中貿易協議も何等かの決着がつくのではないかという期待から、NYダウは大きく買われ年末下落前の高値水準まで全値戻ししてもおかしくない勢いになりはじめています。
ただ、米株は相当割高な水準に戻してきていますから、ここから長期投資のファンド勢が買い上げるとはなかなか思えない状況で、足元の相場は強気派と様子見、あるいはどこかで大幅下落を予期して資金を引き揚げる輩の二種類に分かれ始めている印象がかなり強くなりつつあります。
あとがないウォール街のミレニアル世代
昨年米系銀行の投資部門はことのほかいいボーナスが支給されたようで、実は銀行側は今年はそうした支給ができないので前倒しでこのような措置を行ったという見方が強まっています。
下手をすればリストラも待ち構えている可能性があるわけですから、ファンドマネージャーなども心中穏やかではないはずですが、どうせ首になるなら会社の金ですから思い切り投資してやろうという向きも多いようで、こうした現場の実情がやたらと強気な相場の復活をにおわせるような動きにつながっているのではないかとも思う次第です。
2020年にはご存知のとおり大統領選挙が行われますので、通常その前年というのは現職の大統領があらんかぎりの力を発揮して景気を持ち上げるために政策を打ち出してくるので、ほとんど株価は大きく上昇するアノマリーを持っており、ウォール街の暴落を知らないミレニアル世代もある意味それにかけて強気相場を曲げずにトレードしているように見えてなりません。
確かにどうせ失うなら思い切りやって、それが利益になれば儲けものぐらいの感覚なのかも知れませんが、そうした動きにCTAのアルゴリズムが同調し増幅することで相場は想像以上に強気に展開しているようにも見えるわけです。
ファンド勢は投資に相当慎重
その一方で昨年利益が総じて芳しくなかったヘッジファンド勢は、積極的な投資を手控える状況が鮮明になっており、相場への対応が大きく変化してきているようです。
かなりのファンドが資金を市場から撤退して現金化が目立ち始めているようで、同じ投資系の輩でもここからの相場に対する考え方にかなりの開きが出てきていることが改めて認識できる次第です。
どちらが正しいかは依然としてよくわからない状況ですが、トレーディングベースでとれるところはとっていくとしてもとにかく長い目でみてエントリーする相場でないことは間違いなく、どう戦っていくかはかなり考えさせられる状況になりつつあります。
このリスクオン相場は大きく跳ねなくてもそれなりの時間続く可能性もありそうで、見極めは難しくなってきています。ドル円に関しては日米通商協議が始まる段階でかなりのファンド勢が売りをしかけるつもりのようで流れが変わるとすればそれを待つしかないのかも知れません。
ただ112円台に向けては過去にかなりの時間と回数止められている場所であるだけに、まだ残っているファンドのドル円ロングも相当あるようで上昇するといっても簡単には上がらなさそうに見えます。
上げても下げてもとれるところはうまくとれば別に問題はありませんが、突っ込んで買い向って取り残されるということがないようにしたいですし、いずれにしても明確な方向感が示されているわけではありませんから、できるだけ相場への滞留時間を短くしてとれるところはすぐに実現益にするといった工夫で乗り切ることは大切になりそうです。
先日から書いていますようにどうも積極的に売買がしたくなる雰囲気がまったくしないのは困ったものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)