為替と直接的には関係ないかのように思われる米株の動きですが、NYダウの上昇は間違いなくドル円に影響を与えているようです。
この相場の動きを再上昇局面とみるか単なる下落途上の戻しとみるかで、為替の売買の仕方も大きく変化がでそうな状況になりつつあります。
NYダウは全値戻ししそうな勢い
Chart kabutan https://kabutan.jp/stock/chart?code=0800
12月初旬に2万6000ドルに近い水準にあったNYダウは、クリスマスシーズンを挟んで大きく下落することになりました。
ムニューシンがトランプ名で招集した金融作業部会が年金に株買いを要請したりレイダリオのところにアドバイスを受けに行ったりした結果、年末ぎりぎりで急激に値を戻す形となったのはご存知の通りです。
また1月のFOMCでパウエル議長が突然宗旨替えして利上げを凍結する発言をし始めたのも株式市場は強く好感する動きとなっている状況です。
すでにNYダウは61.8%戻しもはるかに超えて全値戻しもありえそうな勢いでの上昇となっていることがわかります。
2月以降には新規に上場企業の自社株買いも相当予定されているようで、ウォール街では2019年が大統領選挙の前年に当たることから今年も後半に向けて、例年のアノマリーのように大きく上昇することを期待する声も日増しに高まりつつあるようです。
しかしその一方では「S&P500」の株価ETFが株の上昇にも関わらず過去最大に売り込まれていたり、米系銀行のプライベートバンキングから富裕層が相当な金額の資金を撤退させ始めるなど、必ずしも手放しで喜んではいられない状況も次々示現しはじめています。
高い株価は循環で調整される宿命という見方も
確かに足元のNYダウは猛烈な勢いで再上昇を始めているようにも見えるわけです。
エリオット波動のエキスパートによれば2008年のリーマンショックの大暴落からすでに2018年10月段階で、第五波動の最終局面の5までつけてしまった可能性があり、今は下落局面の戻りに過ぎないことからここからは激しい下落に見舞われる可能性を指摘する声も聞こえ始めています。
このエリオット波動分析は分析者のカウントの仕方で非常にぶれるものですから俄かには信じられないわけですが、ただリーマンショックからすでに10年半近く経過しているわけです。
それなりの調整がでてもおかしくはない状況で、第五波動かどうかは別としても大きな調整局面が迫っていることだけは間違いなさそうな状況です。
またバフェットが株の売買の見極めに利用しているバフェット指数で見ますと昨年9月末の段階ですでに149.5という非常に高い数値を示現していますから、株価としては明らかに買われ過ぎの状況であり、これが一定の調整を経ないかぎりは長期視点で買い向かうタイミングではないこともまた明らかです。
Data 日経平均AI予想 https://nikkeiyosoku.com/buffett_us/
足元では米債の金利がほとんど大きく動かなくなっていますからドル円は米株の動きのほうに連動しやすく、株価の上昇は相対的に強いドルを演出する一つの材料にもなってきています。
したがってこの相場状況を大きな再上昇局面であるとみるのか一定の戻りを試しているだけで早晩下落が始まるとみるかで、ドル円も戻り売りするのか押し目買いするのかの大きな分かれ目に差し掛かっていることがわかります。
個人的な見解としてはやはりここまで高くなった米株相場ですから、2月中などといった至近なタイミングで暴落が起きるのかどうかはわからないものの、再上昇相場が始まったとは思えないのは事実で、やはり下方向を意識しておく必要が相当あるのではないかと思っている次第です。
ドル円は結局のところ110円台をぐんぐん上昇していく力もありませんから、早晩下を再度試しにいくタイミングがやってくるはずで、やはりここからは上目線よりは下目線で相場を見ていくことが重要ではないかと考えています。
この見方が確実に当たるかどうかはわかりませんが、とにかく二つの見方があるということはしっかり理解していただきたいと思います。