ドル円は2月1日の雇用統計の結果を受けて、若干上昇し109円台をつけたところでISM製造業景況指数の数字がよかったことなどからいきなり109.400円レベルまで跳ね上がり、戻り売りした個人投資家を大きく踏みあげる展開となってしまいました。
しかし買い上がるというよりはショートスクイーズというイメージが強く、ストップをつけたらそれ以上、上昇することもなく下げもしない形で日足では陽線引けで週の取引を終了しています。
NY市場は大寒波の到来でマンハッタン近隣でもマイナス10度以上という異常気象、シカゴはマイナス40度などという北極以上の寒さで実際のところNYタイムの午後の相場はかなり市場参加者も少なかったようで為替どころではないというのが正直なところだったのではないかと思われます。
こうしたことから上髭もつけずに終わった相場は週明けも上値を試す可能性が残されますが、ここからは下落リスクが満載の状況で、果たして110円を超えて戻すことができるかどうかにも注目が集まりそうです。
今年の3月1日はFXリスクの特異日?
ところで2月は28日までしかありませんから、あっという間に3月に向かうということで、FX市場にとっては非常にリスクが高まる3月1日に向けた動きに注意が必要になりそうです。
米中貿易協議リスク
まず米中の貿易リスクは1月30日、31日に閣僚級の会談が開かれたにも関わらず米中双方で声明を発表するようなことは一切なく、トランプだけが目覚ましい進展があった旨の発言をし、最終的には習近平との会談で合意が決まるといった発言をしています。
ただ具体的になにが目覚ましく進展したのかは明らかにされていないのが現状です。さらに交渉責任者であるライトハイザーは、進展はあったが「やるべきことは山ほどある」「私には成功を予想することはできないが、成功の可能性はある」となかなか微妙な発言をしています。
市場はえらく楽観的な見方をしていますが、知財関係などで合意がとれるとは到底思えないのが現状で、これがうまくいかずに3月1日から関税率が25%に引き上げられるようなことになれば株価はまたしても下落のリスクに見舞われることになるだけに、ここからの米中双方の動きが非常に注目されるところです。
今週中国はすでに春節(旧正月)でお休みですから、動きはないものと思われますが、14日以降にいきなりなにかが動き出す危険性についてはしっかり認識しておく必要がありそうです。
米国債務上限問題の再来
米国ではとりあえず三週間だけ、つなぎ予算が認められて政府機関も再開されていますが、2月15日にはまた同じ問題がやってくることになります。
また、3月1日には現行の債務上限の期限も到来することになりますから、下院では民主党が勢力を握る議会が上限を引き上げない場合、初のデフォルトに陥るリスクもまだ残されております。
米国債の格付けが下落するようなことが起これば、株と債券市場に2011年8月に起きたような米国債ショックが訪れるリスクも高まることから予断を許さない状況が続きそうです。
トランプ大統領はメキシコとの国境の壁を結局非常事態宣言を発令することで実施しようとしており、5日の一般教書演説でもその内容が登場するのではないかとみられています。
民主党側はとにかく弾劾にまで追いつめるつもりでトランプと対峙しているだけに、壁の予算が無理やりむしり取られた場合には相当な対立姿勢をあらわにする可能性もあり、この債務上限問題も今年に関しては例年とは違ったリスクを醸しだしそうです。
こうしてみると相変わらず米国、とくにトランプが一枚絡んだ政治リスクばかりが市場をかき回すことになりそうですが、どちらも尋常ではない影響を与えるだけに3月1日以前にその状況があらわになった場合には今月の相場に前倒しの形で影響がでることは必至となります。
したがってここからの推移にも相当注意しながら取引を進めていくことが求められます。
(この記事を書いた人:今市太郎)