1月3日のドル円のフラッシュクラッシュから1か月近くが経過しようとしていますが、ドル円は様々な材料に囲まれて110円台手前まで回復したものの、そこから新たな動きにならないまま横展開が延々と続いています。
今週はいよいよ後半に動きがでることを期待したいところですが、2015年8月24日に突然中国人民元起因でNYタイムに入る寸前にフラッシュクラッシュが起きた時のチャートを眺めてみますとそれなりの近似性があることがわかります。
長々とレンジが続き下落に転じた2015年秋相場
御覧いただいているのは「2015年8月24日」に暴落がおきてからあとのドル円の日足の推移ですが、本来もっと短い時間足でみるとさらによくわかるのですがこの時も116円台初頭までいきなり下落した相場は、直後に121円台まで戻し暴落直前レベルまで値を回復しています。
しかしその後はそれを一度として超えることができないままに上下動を繰り返すようになり、10月に入るまで上下に髭をつけながら推移していたことがわかります。
この手のフラッシュクラッシュ相場では、まさか116円近くまでつけると思っていなかったことからインターバンクでも顧客からの下値注文をすべて暴落時に買い注文できないまま、仕方なく顧客に買いを渡していることが多いのです。
結果的にショートを大量に持たざるを得なくなることから相場が戻すとどうしようもなくショートカバーで対応することから、下落の元値に近づくまで値を戻すことになりそこからは逆に下がらなくなってしまいます。
しかし上値の方は暴落で損切を免れた投機筋などのポジションが121円から大量に残っているので、値を戻すとやれやれ売りででていくらショートカバーが出ても上値も抑えてしまう形になるのです。ここまでは足元のドル円の動きにかなり酷似していることがよくわかります。
その後米株の下落に連動してドル円も下落へ
2015年のケースでは同年の10月15日に118.064円まで再下落をして、その後は上昇に転じています。これは米株が下落したのに連動する形でドル円も下落したわけですが、この年は日銀の追加緩和が10月末に発表されたことから、ドル円は大きく反転上昇することとなり、ここは現状とはかなり異なる部分になっていることがわかります。
8月のほぼ6円幅の下落から一旦ほぼ全値に近いところまで戻し、さらにその後4円ほど下落したのがこの時の相場の動きであり、下落全体の3分の2程度まで再度下押ししたことがわかります。
ここからのドル円は米株次第で3分の2程度まで押す可能性
今回の下落がこの2015年のケースと全く同じになるかどうかはさすがにわかりませんが、上値を抑えられてレンジの中でランダムな膠着相場を展開しているところは似ております。
仮に今回も下落の3分の2程度まで下値を再度試しに行くことになれば、104円が1月3日の底値であると仮定した場合には106円程度までは2月中に下落するリスクがあると想定しておく必要がありそうです。
もちろん3分の2戻しが定番というわけではありませんから、全値戻しを試すこともありえそうで、いずれにしても上値よりは断然下値のほうをケアする必要がでてきているようです。
もともと3月にかけては本邦企業の年度末にむけてのレパトリエーションで円転玉が多く登場することになりますので、時期的に円高に振れやすいということもありますが、109円を下抜けしはじめるとかなり深い下落が起きることに注意が必要になりそうです。
米株も戻り局面ではありますが安定的に上昇するといった雰囲気は感じられず相変わらず不安定に推移しています。2月に向けては日ごろ以上に注意しながら売買することが求められそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)