今週FOMCの政策決定会合が開催され政策金利が発表されます。1月に関しては市場も変更なしのコンセンサスを得ていますので、FOMCにおける結果は今後の利上げ回数、スピードとともに資産縮小(QT)がどのように後ずれするかに注目が集まります。
今回のFOMCから新に投票権を得るのはカンザスシティー地区連銀のエスタージョージ総裁、セントルイス地区連銀のジェームズブラード総裁、シカゴ地区連銀のチャールズエバンス総裁、ボストン地区連銀のエリックローゼングレン総裁で全般的にかなりハト派なメンバーのラインナップとなることから、利上げスピードと量的引き締めの後ずれが鮮明になるのではないかとの期待が市場に渦巻はじめています。
とくに今回の投票権獲得メンバーの中では政治の世界の風見鶏として有名なブラード総裁が混じっていますから、かなりトランプ政権の意向を忖度した発言をするものと思われ注目が集まります。
ムニューシンが招集した金融作業部会から圧力の可能性も
昨年末、クリスマスシーズンで市場参加者が激減したにも関わらず米株が大きく下落したことから、ムニューシンが慌ててトランプ名で金融作業部会を招集したのはご存知の通りです。
この直後から要請を受けた米国の大手年金基金が日本で行っているPKOと同じように640億ドルの資金を投入支援してもらったことから、1日に1086ドルという史上最高の驚異的なNYダウの上昇を果たしました。
それと時を同じくするようにパウエル議長が宗旨替えとも言えるような利上げの凍結やQTの後ずれを口にし始めており、これは単にトランプ政権に忖度しただけではなく、具体的にこの金融作業部会からプレッシャーをかけられた可能性がかなり高まりつつあります。
またメディアの報道ではこの作業部会がかなり市場で著名な投資家に、どうしたら株価を上昇させられるかのアドバイスを受けに行ったとされており、それがどうやらブリッジウォーターのCEO・「レイ・ダリオ」なのではないかという憶測も高まっています。
レイダリオは2008年のリーマンショック前にもFRBに出向き相場が危ない旨を訴えたものの相手にされず、その後彼の指摘したとおり深刻な相場の暴落が起きただけに、今回は先手を打ってレイダリオに教えを請いにいったのではないかという市場の見方が強まっているのです。
もしこれが事実であり、その内容をFRBがしっかりと受け取った場合には今年の利上げとQTの実施は相当後ずれすることが予想され、その兆候が声明文やパウエル議長の記者会見から窺われるようであればドルは大きく下落する可能性があることに注意が必要です。
先週末、ウォールストリートジャーナルのFedWatcherからはFRBは量的金融緩和で買い入れた米国債などの保有資産の縮小の終了を議論しているとの観測記事が掲載されました。
既に、ドルの全面安が始まっていますので今週はFOMCの動向とともに並行して開催される米中の通商協議の結果を含めて相場の動きをチェックしていくことが必要になりそうです。
2月は例年ドル円が下落しやすい時間帯に入りますが、そこに政治イベントや中央銀行の政策決定が絡み合ってきますので、流れが大きく変わることがあるという点だけは十分に理解しておく必要がありそうです。
いずれにしても正月三が日の期間中、ほぼ市場がお休み状態のオセアニア時間帯に104円台まで暴落してみせたドル円ですから、春先までに再度下値を東京タイムで試しに行く可能性はかなり高そうで、ドル円は跳ねたところで戻り売りを仕込んでいくと結構大きな利益をとれるチャンスがありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)