正月三が日の三日目、ドル円は相場の薄い状況下でアップルが売上見込みを下方修正したという報道あたりから株の先物下落に連動するようにドル円も下値を模索し始めました。
箱根駅伝の復路スタートの30分ほど前からさらに挙動がおかしくなり、下落し始めるとストップをつけて104円台まで一気に売り込まれるという久々の「フラッシュクラッシュ」を示現することになりました。
NHKなどの報道ではアップルの業績見通しから、リスクオフになり円高といった説明がされました。しかし、実際のところは確かにアルゴリズムが下押しする初動はこの件が影響しているとは言えますが、別にアップルの業績でドル円が暴落したというわけではありません。
下方向に大きく加速させたアルゴリズムにほかの順張りでついていくアルゴが反応して、必要以上に下押しする形となり、結果ストップロスをつけまくって104円台にまで下落したものと思われ、フラッシュクラッシュによくみられるようにその後は一気に買戻しが働くという実に不愉快な動きとなってしまいました。
※楽天証券チャート ドル円5分足
ストップロスをおいていなければかなりの損失か
この時間帯、早起きしてドル円のロングを買って保有していた個人投資家は果たしてどのぐらい存在していたかはわかりませんが、前日に108円台の下押しをしてNYタイムには一定の戻りも出ていたわけですから、ロングをそのまま保有していた向きも想像以上に多かったのかもしれません。
業者によって今回の下落の下値はカバー先の違いもあって結構異なるようですが、楽天証券のチャートではBidで104円すれすれのところまで来ており、スプレッドはほとんど1円に近い状況ですから、強制ロスカットなどもきちんとついたのかどうかかなり心配になる状況です。
アルゴリズムやAI実装のコンピュータ取引が主流になってから、こうした理由がはっきりわからない相場の暴落というものはそれなりの頻度で起きるようになっています。
アルゴリズムがほかのアルゴリズムの動きに順張りでついていきはじめたり、リスクパリティファンドが自動的に一定のレベルで損切りを仕掛けたりすることが想像以上に大きな動きとなって現れることがあるのは事実で、最初に仕掛けた向きもどこまで大きな動きになるかはやってみないとわからないところもかなりあったのではないかと思う次第です。
年初から昨年の下値に接近する猛烈な下落
年明け早々からドル円が昨年の年間下値であった104円に近づき104円台後半あたりまでいきなり下落してしまったことから、ここからの相場展開がどうなるのかが非常に気になるところとなりました。
いきなり年間の下値に近いところまで到達してしまったわけですし、上値もここからは相当重たくなることから下方向への警戒が強まるところですが、その一方で今回はストップロスをつけただけの下落にすぎません。
本来の下値で買い意欲をもっていた実需などもまったく相場には参加できていませんから、次に下落が同じように104円台まで簡単に下げるかどうかはまた別の話になりそうです。
ただ、市場全体が下方向をかなり意識したことは間違いありませんから、ここからのドル円は相当上値の重たい展開になることは避けられなさそうな状況になってきています。
年初早々からとんでもない相場が展開してことで、4日以降の動きが非常に気になりますが、瞬間に暴落してかなりの部分を戻していることからそう長く尾を引くこともない可能性はありそうです。
確かに市場参加者が少ないお休みの時期にはこうした思わぬ動きが出易くなるものですが、アルゴ全盛の昨今では仕掛けたほうもどこまでのインパクトのある売買になるのかはやってみないとわからないところもあったはずで、多くの市場参加者に驚きをもたらした動きになったことは間違いありません。
今年はこうした動きがかなり顕在化する恐れもありますので、十分に注意しながら取引を進めていきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)