2019年は年明け早々、1月相場にかなり大きなリスクが横たわっています。それが英国のBREXITを巡る下院議会の投票です。
結局年末なんの決着もつかないままに時間だけ過ぎたものの、議会はあっさり年末12月20日から何事もなかったかのようにこの投票を放置したままクリスマス休暇に入るという体たらくぶりで、本当に深刻に自国の行方を考えているのかかなりクビをかしげる状況となったわけです。
とうとう1月の14日の週に下院での採決が行われることから、ここから急激に状況が変化することが予想され、かなり注意が必要になりそうです。
ここからのシナリオは限定的
足元で選択すべきシナリオとしては既にメイ首相がEUと合意してきた離脱案を受け入れるか、完全に合意なき離脱案に踏み切るかの二者択一に追い込まれており、まさかの国民投票再実施となったときに離脱をやめるという選択肢が盛り込まれるかどうかも焦点になりそうです。
基本的にEUはここから政権が変わろうが与党が変わろうが追加で交渉に応じて大きく中身を変えるつもりはまったくないことを明確にしていますし、そもそも2年半も時間があったわけですからEUが再交渉を拒否するのも当たり前の話でEU案を受け入れないということは合意なき離脱をするか、離脱自体をやめる以外にほかの道がもはやないことを強く示唆している状況です。
仮に下院が離脱案を否決した場合、政治的な混乱からメイ政権に対する不信任案を野党が持ち出してくることになると、離脱案の解決策がないままに政治的な混乱だけが前にでてくるだけに相場はこの時点でさらなるポンド売りが進行するリスクが高まりそうです。
合意なき離脱は誰も得しないのでありえないという見方
実は合意なき離脱は誰一人としてそれでプラスになる人間がいないのだから簡単にはこの線で決定することはないのではないかといった楽観論もかなり市場には見られる状況が続いています。
しかしそれならばそもそも解決策もないままにいきなり国民投票でBREXITだけ決めてしまうというやり方自体に合理性はまったく存在しないわけで、ここまで理不尽な状況が続けば勢いで合意なき離脱が決定してしまう危険性は十分に残されている状況です。
ここからは最悪の状況を意識すべき
具体的な為替水準の話でいいますともっとも大きく動きそうなGBP/USDでいいますと1.2というのが当面の下値として意識されることになるのでしょうが、合意なき離脱が決定され具体的に様々な不具合が顕在化しはじめた場合最悪対ドルでポンドがパリティにまで落ち込むリスクは常に残っているといえます。
この場合ポンド円はどこまでれらくするかが注目されますが、既に2016年の10月に瞬間的ではありますが118.198円を付けていますから、それを下回るリスクに直面する危険性も否定はできません。
少なくとも現状の水準から簡単に20円以上下を目指すことがありうるということになり、これは春までの為替市場ではもっとも大きな稼ぎとなる可能性を秘めているといえる状況です。
ただし、市場が楽観視するようになんらかの力が働いてまさかのBREXIT中止などという話が飛び出し、実際にその方向で決まった場合には激しいショートカバーがでてポンド円ならば195円レベルまで60円近くまで跳ね上がる可能性があることも忘れてはなりません。
つまりこの段階ではまだ決めうちはできないものの、動く方向についていけばすべてとは言わないものの動きの半分程度は利益のご相伴にあずかれることを意識しておくべきではないでしょうか。
現状ではまだその方向感は判りませんが、とにかく14日以降にむけてしっかり状況を把握することが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)