年末になると株も為替も市場が「来年どうなるのか?」という話が非常に多くなります。
確かに混迷の相場が続いているわけですから、多くの人達がどのように来年の相場を考えるべきなのか誰かに救いの助言を求めたいと思うのはよくわかるところでもあります。
しかし来年末株式市場がいくら、為替のドル円レートがいくらになるかが仮に本当に正確にわかったとしても我々は利益をあげることができるでしょうか?この答は実に簡単です。
そんな相場予測が当たっても利益をあげることは何の関係もありません。今回は年末最後でもありますから、アナリストがこぞって持ち出してくる2019年の相場予測について考えてみたいと思います。
遠い将来に上がる、下がるが当たっても相場は儲からない
来年末にドル円がいくらになるかといった不毛の質問が経済番組でアナリストに投げかけられることが多いのは御存じの通りで、やめればいいのに多くのアナリストがそれにまた真摯に答える姿が見られます。
しかし今年の事を考えていただければ、こうした予想がほとんど意味のないものであることはすぐにわかるはずです。
今年も年初は114円台だったわけですが、春に向けて104円台まで下押しをして、その後113円台を回復して年末相場に至っていっており、さらにそこから110円台にまで落ち込む動きを見せています。
結果からすると今年は年初から見れば下落レベルにあるわけですが、だからといってショートを年初から保有し続けていても、その途中は大きく上下しているわけです。
本来相場としては年初が高くその後3月に向けて大きく下げ、そこから戻して年初と似たようなレベルに戻り、そこから下げて終わるというタイミングとその間の変動レベルのすべてが当たらなければなんら儲からないのが実情なのです。
これは半年後にどうなる、三か月後にどうなるという予想もほとんど同じで、要するにそのタイミングが正確にわからない限り方向感だけ当てても儲けにはつながらないことがよくわかります。
とくに、レバレッジをかけた売買では上がるけど途上で大きく下げるとか、下げるけどその途上で猛烈に上昇してから下げたのでは証拠金を維持できなければ損切りを余儀なくされますから、ほとんどそんな予想が当たってもなんら儲からないことになってしまうのです。
相場の方向性に先入観を抱くのは大問題
アナリストの相場予測で、もうひとつ問題なのはそれを見聞きする個人投資家に強い先入観を与えてしまうことです。年末にドル円が120円になると植え付けられてしまえば当然下げの局面では買いたくなりますし、自ずと取引する方向も一方向に絞られやすくなるのは事実です。
為替の場合は、それでも売りも買いもできますからまだ自在性は残されますが、株の場合年末までに「日経平均3万円」などと連呼されれば当然買い向かうことになり、実はどこかで暴落などいう事態に遭遇した場合にはとりかえしのつかない損失に見舞われてしまうこともあるのです。
そもそも年間の予測を出すような金融機関のサラリーマンアナリストたちは自分で売買しているわけではありませんから、外れても痛くもかゆくもない存在であり、俄かには信用できない存在であることを改めて認識する必要があります。
また来年は下落であると強く信じ込んでも実際の下落が始まるまでにはかなり時間がかかることもありますし、そもそも正確な下落タイミングがわかりませんから、レバレッジをかけた売買では逆に一時的に踏みあげられて証拠金を失い下落が当たっても、その前に市場から退場という憂き目にあうリスクもかなり高くなるのです。
もちろん話半分で人の予測を見るのは構いませんが、それに強烈な影響を受けることだけは絶対に避けるべきです。そもそも相場の下落局面で何故下落するのか、いつまで下落するのかもわからない人間がどうして上昇のタイミングだけ当てられるのでしょうか?
それを考えればこうした「アナリスト予測」というものが相当あてにならないものであることが改めて理解できるはずです。
自由な相場ですから先行きをどう考えても別にそれを責める必要はありませんが、自分がそうした予測に非常に影響を受けやすいとわかっているのならば、あまり真剣に見る習慣をつけないのも一つの方法です。
正直なところ、個人的にはアナリスト予測は株も為替もなんの役にもたたないと感じています。
年末ぎりぎりに辛口のコメントを書きましたが、どうか皆さまよいお年をお迎えください。そして爆益にあずかることをお祈りしております。
(この記事を書いた人:今市太郎)