世界最大のヘッジファンドのCEOであるブリッジウォーターの「レイダリオ」が今年9月に「Big Dept Crises」という220ページほどの本を出して、市場で非常に注目され各国の中央銀行の要人も精読しているようです。
残念ながら英語でしか出版されていないようですが、この本では、米国政府のかかえる負債が歴代内閣から大きく積み上がっており、日本円にして2200兆円超という巨額の負債が今後、大きな問題になることを強く示唆した内容になっています。
Data howmuch.com https://howmuch.net/articles/usa-debt-by-president
負債というとトランプが一人で大きくしたような印象を受けますが、実は上のデータを見ていますと、ブッシュのころから積み上がり始め、現状ではオバマのほうがトランプよりも大きな負債を残してしまったことがよくわかります。
レイダリオによると2019年後半から米国は日本円にして年間440兆円を超える元金返済を余儀なくされることから、借金の返済のためにさらに国債を発行せざるを得なくなるとのことで、これをいままで通り売り切ることができるのかどうかからまずリスクが高まることになりそうです。
中央銀行主導のバブル相場では莫大な債務を増やしながら、一方で資産を高く膨らませるといった言わば両建ての経済を行ってきたわけですが、米国の場合ですと債務だけがさらに増えて資産が急激にその価格を失うことになる可能性が極めて高くなるわけですから、次のバブル崩壊が起きるとすれば相当その内容は深刻なものになる危険性を秘めていることになります。
レイダリオが想定する次の相場下落は1937年型
このコラムでは過去にも1937年のFRBの利上げによる相場の暴落とその後の長期低迷に関してご紹介してきています。
レイダリオはリーマンショックから10年を経て次の相場の暴落はこれまでのように一回でドカンと落ちてある程度底を見たらそこから比較的すぐに立ち直るようなブラックマンデーの大暴落型ではなく、この1937年型の長く下落が進行する状況を想定しているようです。
これが正しいとすれば既に足元でかなり下落している米国の株式市場はすでに下落が始まっている可能性もあるわけで、このまま下落に向かって突き進んでしまうことも十分に考えられることになります。
先週だけでNYダウは「1600ドル」も下げており、12月は2018年の最高値から3500ドルの下落で、年末の終値がここからどうなるのかも非常に関心が高まるところです。
リーマンショックもリーマンブラザーズが破綻した日に暴落したわけではありませんから、ここからの動きに注目したいところです。日本のバブル崩壊も崩壊開始直後ははっきりとその動きを市場は確認できずに2年近く低迷を続けてはじめて、これはもう元に戻れないということを認識した記憶があります。
次の総資本市場での全方位のバブル崩壊が起きる場合には、これまでとは異なる動きが出るリスクは当然考えられることから、2019年は相場の動きに相当敏感になる必要がありそうです。
レイダリオは2008年の直前にも市場の兆候の変化を感じ、FRBにまでそれを伝えにいったという実績をもつサブプライムローン破綻を正確に見つけ出した人物の一人です。
彼の足元での相場異変に関する感触が正しいとなれば、2019年は結構想像以上に厳しい状況に投資家が直面することも考えられるだけに、今後の彼の発言にも注意を払っていくべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)