ここのところあまり情報が流れてこない英国のBREXITに関してですが、いよいよ12月11日に議会で承認の採決が行われることは決定した模様です。
しかしこの採決、一回目はとにかく否決されることはほぼ間違いないようで、市場もある程度は織り込んでいるものと思われますが、それでも否決となれば株も為替も結構売り込まれることが予想されます。
しかしこの下落が大きければ英国内でのインパクトも大きくなるはずで、メイ首相はこうした暴落に議会の承認への意向変化を賭けているのではないかという見方も強まっているのです。
たしかに為替もFTSEも大暴落となるとさすがに議会サイドもたじろぐ場面がでる可能性は十分に考えられ、果たしてメイ首相の画策が通るのかどうかが注目されることになります。
英国経済界はEU離脱案を評価
なかなか興味深いのは英国の経済界でこれまで何がどうなるのか判らない状況だったのが、EUと合意した離脱案のおかげで一応先行きの判断見通しが付いたことです。
必ずしも内容に満足しているかどうかはわかりませんが、それなりの評価が出ているようでメイ首相をサポートする意見もかなり出始めているようです。
ここからは結局のところEUと一定の合意を見たこの離脱案で行くのか完全に着の身着のままの状態で合意なき離脱で突っ走るのかの選択肢が非常に強くなってきているようですが、果たしてメイ首相を辞任に追い込んでさらに別の内容をEUと交渉するような機運が生まれることになるのかどうかです。
今回議会の承認が得られずかなり厳しく相場が下落することになれば、EU離脱案でいくべきであるという意欲が経済界を中心として高まる可能性もあり、果たして結果がどうでるのかが非常に高い関心を集めそうです。
アイルランド国境問題は依然不透明
アイルランドとの国境に物理的な国境を作り直す話はとにかくないということだけは決まりつつありそうですが、物理的な国境をつくらずにどのように制御していくかについては依然としてはっきりしていないのが実情です。
先の伸ばしにしても結局解決案はいつまで経ってもでてこないことで、結果的に英国は本質的な離脱ができないまま時間だけ経過してしまうリスクも残されているようです。
いずれにしてもBREXITの投票から2年半たってもほとんどこうした大きな問題部分に解決がつかないわけですから、ここから半年やそこいらで簡単に解決に向かうとも思えず、EU離脱案を英国が受け入れても前途多難な雰囲気はかなり残ることになりそうです。
暴落があれば一旦買いを入れてみるのも一考
とにかく状況的にはポンドはこの段階で買い向かえるような状況ではありませんから、自ずと売りが非常に多くなることが容易に予想されます。
一旦暴落する局面があればなにかにつけて買い戻される可能性もあるので、ショートカバーに期待して底で買ってみるというのも面白いかも知れません。
もちろんストップロスを入れることは必要ですが、恐らく議会には再案が提出されることになるでしょうから、そこで万が一承認が得られるようなことになればポンドは一時的に跳ね上がる可能性もあります。
暴落の先にもう一つリスクがあるとすれば、力尽きてメイ首相が突然辞任を口にしたときで、こうなるとさらに相場が大きく下がることが予想され、その先がどうなるのかはまったくわからなくなりそうです。
いずれにしても底をつけるところまで売られると相場のポジションの傾きから買い戻されることは間違いなさそうです。今年の年末はどうもドルストレートははっきりしない動きが続きそうですが、年末一発利益を確保するという方法でこんなやり方をしてみるのも面白いかも知れません。
もちろん大きなポジションでの売買には向きませんが少額ならばとれる可能性もありそうで、あまりにもぱっとしない年末相場ですから、ポンド円やポンドドルで大きな動きがあったときに逆張りでショートカバーをとりいくというのは、あらかじめポジションを張っていくよりもかなり手堅くなる可能性はありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)