今週に入ってから米株の下落が止まらない状況で、中間選挙を経て再度値を戻すかのようにみられた米国の株式市場はどうも簡単に戻り基調にはならなさそうな雰囲気が漂いはじめています。
14日のNYダウは一時300ドル以上下げる局面もありましたが、結果は多少値を戻し205.99ドル安の25080.50ドルで引けています。またNASDAQは0.9%安の7136.40、S&P500は0.76%安の2701.58で連日弱含む展開が継続中です。
アップルはとうとう5日続落の状況で米株を支えてきた「FAANG」もズタズタの状況になりつつあります。確かにハイテク株が振るわないという問題もありますが、この時期ファンドの解約に伴う資産の取り崩しから、今週結構株の売りが出ている可能性も指摘され始めています。
ヘッジファンドの運用成績は最悪の状況へ
今年のヘッジファンドの運用成績はすべてが公表されているわけではありませんが、殆どのファンドの状況を掌握しているHFRの大手グローバルファンのインデックスを見ても収益状況は日に日に悪くなっており、すでに年間では3%を超える下落を示現している状況です。
Data FT
今年は既に年間で1兆3000弱の解約が相次いでいるヘッジファンド業界ですが、10月の運用成績を見て解約に踏み切る向きが年末の45日前にあたる11月15日までに集中し、資金を確保するために流動性の高い株から売却しているファンドが増えているのはどうやら事実のようで、さらに解約のみならずファンド自体の閉鎖も危惧される状況となってきているようです。
果たして16日以降売りの一段落を受けて株価がそれなりに戻ることになるのかどうかも大きな注目点となります。どうやら相場は相当傷んでいるようで市場参加者もここから元気に買い戻す余力がなくなっている可能性も十分に考えられる状況です。
リスクパリティファンドの動きも相場の下落を加担
現在ほとんどのグローバルファンドは「レイダリオ」が行っている手法で有名な、リスクパリティ戦略をとっていると言われます。
資産価格変動の標準偏差を利用したこの手法は、複数の資産に資金を分散するときにリスクの寄与度が同じようになるようにするのが基本的な考え方です。
リスク視点で投資している各資産を等価に設定していることから、それぞれの資産のリターンの優劣といった部分がしっかりとポートフォーリオ上で反映され、分散投資のもっとも効率的な手法の手本となっているのです。
しかしその反面、一定以上の損失が出ると自動的に損切りをしていくことになるため、多くのファンド勢が積極的に組み入れてきたFAANGなどのハイテク株がひとたび下げ始めると一斉に売りが示現するという結構問題の動きをすることが相場の下げを結果的に加速させているとの指摘もでています。
10月の暴落でこうした自動的な損切は一旦終了したとの見方も強かったわけですが、アップルの下げを見ていますとまだ継続している可能性は高く、相場がさらに下げるリスクも残っているのが現状です。
株が下がればドル円も追随
米株の下落は当然のようにドル円にも影響を与えており、NYタイムにドル円が大きく下押しする回数も非常に増えつつあります。
実際14日の相場でも113.500円をあっさり割れたドル円は113.300円切れまで下押ししており、実需で下値が堅いとはいえ、徐々に上値を切り下げ、下値も切り下げる動きに転じています。
ドル円15分足
ここからさらに113円切れまで押し込む動きになるのかどうかは不明ですが、112.800円を割り込むようですとチャートの形状から考えても一旦上昇は終了して下落の局面へ転換することも考えられるだけに注意が必要です。
当面は16日以降の株式市場の状況が注目されますが、アストロ的にはここ1か月以上続いて暴落の期間にぴったり当てはまってしまった金星の逆行が順行に転換するタイミングでもあり、こちらにも一応の注意をしておきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)