米国の中間選挙はまだ開票途上ではありますが、上院は共和党が制し、下院はどうやら民主党が実に8年ぶりに多数を確保したようで、事前の予想どおりねじれ状態が現実のものとなりました。
国内の市場では一旦は米10年債の金利が大幅に上昇したことから113.800円近くまで拭き上がる場面も見られましたが、その後は買い上がる材料もないままに下落して、ロンドンタイムを迎えようとしています。
ここからNYタイムで株価がどういう反応を見せるかが注目されますが、大方の予想通りとなったことで、特別株も為替も大きく売り込まれるような状況にはなっておらず、事前に大騒ぎした割には比較的落ち着いた状況となってしまいました。
予算がらみの政策は下院で悉くスタックすることに
下院は上院に比べますとその決定権限は限られ、貿易摩擦のような問題では上院だけでも可決させて話を進めることができるものの、予算が絡むものについてはとにかく上下両院の可決が必要になることからこれまでのように簡単にはトランプの一存でものを決められなくなる可能性が高まります。
ただ、大統領弾劾のようなきわめてクリティカルな事象についてはほとんど影響を受けないことからどれだけトランプの政策が制限されることになるのかが大きな注目点となりそうです。
市場ではこうした状況をどのぐらい深刻に受け止められるか次第で相場の動きはかなり変わってくることが予想されますが、これだけでさらに相場が下落するとも思えず、一旦中選挙ネタは相場のテーマから外れることになりそうです。
中間選挙年アノマリーなら米株もドル円も上昇
中間選挙のアノマリーから言えば終了後、米株もドル円も年末に向けては上昇することが多くなるわけですが、果たしてこのアノマリーが今年本当にワークするのかどうかも非常に気になるところです。
株価のほうはとにかく10月の厳しい下落は一旦収まったかのように見えますが、相変わらず値幅の大きな動きが継続中であることから、普通ならばとこかのタイミングで二番底をもう一回試しに行くリスクは依然として残されております。
実際過去の中間選挙年でも11月中盤まで下げてそこから株が上昇することが多いため、ここから一旦下落という動きがでることで、為替も同様の動きを示現するリスクがあります。
どうも今年はファンド勢も相当利益を失っているようで、下げの局面から再度FAANG株を買い向かうのか、あきらめて投資家の払い戻しに対応するのかによって年末までの相場も雰囲気が変わりそうな状況です。
FANNG株は2月の暴落を含めてみますと1~9月に平均でも20%以上上昇したものの、10月の相場の暴落とその後の決算による株の売り加速で9月までの累積利益をほぼ失っていることから、たとえ損を出さずに済んでも多くのウォール街のマネージャーは今年高いパフォーマンスボーナスをもらえる状況にはなくなっているようです。
むしろ来年席があるかどうかさえ心配しなくてはならないところに差し掛かってきているわけですから、この2か月弱、実質1か月強の稼働時間でどうやって挽回してくるのか次第では相場がさらに荒れることも想定されます。
個人投資家も今年については本当に利益を上げられていないことから動きがでれば順張りでついていこうとする向きがかなり多そうで、そうした顕著な相場の方向感の変化が今日のNYタイムから出始めるのかどうかにはかなり注目していきたいところです。
今日の時点ではっきりわかったのは規模が小さくてもトランプラリーが始まるということだけはなさそうで、恐らく多くの市場参加者がここから相場がどうなるのかかなり悩んでいるのが実情なのではないでしょうか。そういう意味ではまったく面白みのない結果となってしまったようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)