いよいよ米国の中間選挙が近づきました。ここからは日本時間の7日の昼過ぎに大勢が判明するまではポジション調整だけが進み大きく相場が展開することはなさそうですが、選挙対策のトランプのツイートなどに振らされる可能性はありそうで、油断は禁物です。
巷では共和党が勝った場合、民主党が勝った場合にわけて相場の展開を占う記事が増えていますが、実は選挙結果に関わらず一定のアノマリーがあることはわかっています。
果たしてこのアノマリーが今年の選挙後にワークするのかどうかは結果を見てみないとなんとも言えませんが、今回はこのアノマリーについてご紹介しておきたいと思います。
過去8回の実績ではドル円はドル高確率85%
まず100年以上前からの中間選挙アノマリーで行きますと、結果発表後一旦沈み込むNYダウなどの株式相場は11月中頃から上昇し年末までは上昇軌道に乗ることが確認されています。とくに1990年からの過去8回の実績ではNYダウの11月上昇確率は71%で比較的上昇しやすいことが確認されています。
さらにそれよりも確率が高いのがドル円で、同様に過去8回の結果をベースにしますと85%の確率で11月相場での上昇が確認されています。
年末にかけては需給的にドル円の買い需要が高まりますが、中間選挙年ではそれがとくに顕著になることはどうやらこれまでは明確だったようで、果たして今年もこのアノマリー通りに動くのかどうかが注目されます。
ドルインデックスはピークアウト
今年の10月はユーロが対ドルで大きく売り込まれたことからドルインデックスは上昇し97に迫る勢いとなりましたが、直近では一旦下落しはじめており、大きくはドル高がピークアウトし始めていることがわかります。
ただし、ドル円に関しては他のドルストレートとは多少状況がことなり、ド10月はドル高でも円高も同時進行したことからドル円にはほとんど影響がでずに終了しています。
またぴーうアウトしてドル安が進行してもやはりドル円には独自の要因が働いており、大きくは下がらない特別な状況が進行中です。
まず本邦の機関投資家が米債の金利上昇を踏まえてオープン外債の形で米債への購入意欲を高めていることからドル円が下落するとかなり積極的な買いがでてきて円高を阻止する働きをしていることが挙げられます。
またM&A需要によるドル調達もかなり積極的で、この二つの要素だけでもドル円はなかなか大きく円高に振れない状況が続いているのです。
米国金利の上昇とドルの米国本国への回帰が進んでいることによりドルの調達コストはきわめて高くなっており、またドル円をヘッジで売り持ちするコストも高まっていることから、本邦の機関投資家の中には既存のドル円ヘッジ分をはずす動きすらではじめており、ドル円に関するかぎりはドル安が進んでも、必ずしも円高にはなりにくいという特殊事情があります。
さらに年末にむけてはどうしても需給的にドル円は買われやすいことになりますから、ここでご紹介した米国中間選挙アノマリーが今年もワークするとなれば大幅な上昇は期待できないとしても11月、さらに年末にむけてドル高円安がそれなりに進行することはありえそうな状況になってきています。
米国のメディアは反トランプの姿勢をかなり強めていますから、世論調査の結果にもそれなりのバイアスがかかっている可能性が高く、実際がどうなのかはあくまで選挙結果を見ないとわからないのが正直なところです。
しかし、どういう結果がでてもドル円がここから111円を大きく割り込んで驚くべき円高に進むことは年末まではあまりありえそうもないことから、一定の下落がでたときには丁寧に拾って年末までの利益獲得をめざしたいところです。
もちろん相場に絶対はありませんから、センチメントの変化を感じたら躊躇なく損切して入りなおすことが重要であることは間違いありません。
(この記事を書いた人:今市太郎)