おはようございます。私の予測はまるで外れたので息消沈をしております。
ただ、いつも言うようにアメリカの金利が急騰したり急落したりすると、予測は外れると明言をしているのでご容赦を願いたいものです。本日はアメリカ金利急騰を受けて、金利の話を少ししたいと思います。
金利もヨコヨコの関係が重要
アメリカの長期金利が急騰したことによって、世界的に金利が急騰をするのが常識になるのですが、きのうはアメリカの金利が急騰しただけで、ほかの先進国の金利はたいしたことがない、ということです。
注目すべきは、イタリーです。イタリーは放漫財政の結果、財政懸念が高まっているのですから金利が急騰するのは当然のことになります。しかし、実際、きのう、アメリカの金利高に追随するのかと思いきや、逆に下がっているのです。
各国の10年物国債利回り 11/2大引け
上記の表のように先進国で金利が下がっているのはイタリーだけであって、ほかの先進国は上昇しているのがわかります。また、アメリカとイギリスの金利上昇も他国と比べて際立っていると思います。
このイタリーに関しては、要するに金利は危機のカナリアとも呼ばれ、危機が発生すると真っ先に金利が上昇するものです。しかも、基軸通貨である、ドル金利が上昇しているのに、イタリーの金利だけが下がっているということは、金利市場がイタリーの危機が後退したことを示しているのです。
たった、1日や2日でこんなことは判断ができませんが、少なくても2-3日の間はイタリーの危機を叫ぶ人はいなくなるでしょう。逆に、上記の表にはトルコがありませんが、トルコの金利10年物は、17.09です。
こういうときにだけテクニカルを使うのはよくないと思いますが、下抜けてしまいました。トルコの金利は。要するに、トルコが春から急落した理由というのは、もう一段、詳しく書くと、ドル高+アメリカの金利高だったわけです。
アメリカの景気が回復をして、金利も正常化することによってトルコ国内から資本が流出し、その結果、暴落をしたのです。そして、あまりにも暴落しすぎたのでトルコの金利が急騰をしたのです。
でも、上記のグラフをみると金利は低下傾向にあり、しかも基軸通貨であるドルの金利が上昇しているのにも関わらず、トルコの金利は下がったのですから、ドル高、金利高が続いても、トルコ金利高という阻害要因が外れたからトルコの通貨が上昇をしたのです。
新興国の金利は、夏から秋にかけて軒並み上昇をしましたが、上記の表でもわかるようにアメリカの金利が上昇しても上がらなくなっているのです。
ゆえに、新興国の展望をみるときには、今まで売られ過ぎた経緯から金利が下がれば、下がるほど新興国の通貨は上昇するということになります。オーストラリアもここ数日、通貨が上昇をしていますが、これはたしかCPIがものすごい勢いで上昇したから金利が上昇しているのです。
ただし、消費不況が改善されたとは言い難く、今回の上昇には疑問をもちます。メキシコは12/1から新政権であり、その方向性がまだ、見えないことからなんとも言えません。
ただ、メキシコの通貨ペソが安いことが日本勢を始めとする海外進出の絶対的条件になりますので、通貨の上昇を期待してはいけません。通貨が上昇すれば、海外企業の撤退につながり国が安定をしません。ですから、ペソが上がりすぎれば、安くしようとする国家政策が出てくるのは当然です。
つまり値上がり益を期待する通貨ではなく、スワップ期待の通貨ということです。イギリスの金利上昇はよくわかりません。
言えることは、きのう大急落の予定が金利の上昇によって打ち消されただけの話です。このように通常はアメリカ金利が上昇すれば、通常は、世界の金利は同等程度に上昇をするものですが、きのうは摩訶不思議な金利構成になっているのです。
アメリカ金利急騰の原因
アメリカ金利急騰の原因を考えていきましょう。
①アメリカ財務省の債券発行額の増大予測
②雇用統計によって、賃金の上昇
③ひっそりとこの時期には珍しい貿易赤字拡大
④米中貿易摩擦の縮小?
こんなところになると思いますが、筆頭候補は④になるでしょう。個人的な意見になりますが、米中の合意は近いとトランプさんは言いますが、何をどう妥協したのかさっぱりわかりません。
そもそも中国はこの件に関して多くを語りませんので、何とも言えません。ただ貿易摩擦が解消、縮小されれば、景気動向は拡大し、すなわち商品需給がひっ迫することによって物価上昇、金利上昇になるという理屈でしょう。
でも、みなさんもおわかりになると思いますが、根幹の問題は①と③ですよね。要するにアメリカの企業、消費者は放っておいてもよくなると思うのが普通だと思いますが、政府の債務残高はまったく解消の見込みがないのです。
景気がよくなれば、税収も増えるでしょうが、何年先の話だよ、ということです。そして金利のほかのカナリアである金は、金利が上昇し、ドル高になっても、きのうは上昇しているのです。
要するに、個人的な意見として、きのうは相反する事実が多く、判定はできませんが、おそらく楽観論が支配的なものが間違いなんだろうな、と思います。
要するにトランプさんは③が発表されるときには、いつも、赤字が、赤字が、とシャウトしまくるのですが、中間選挙を控えて、わざわざ、この米中貿易摩擦問題を持ち出すことによってこれをかき消したのではないか、と思うのです。
シカゴ学派、要するに、テクニカル論者は「常にマーケットは正しい」ということを前提にマーケット予測を組み立てていますが、マーケットなんぞ間違いだらけであり、常に売られ過ぎたり、買われ過ぎたりしているのです。その間違いの値段に玉を仕込む我々をアービトラジャーと言うのがソロスやバッフェットの言い分になるのです。
マーケットは現状を正しく反映をしているから、予測することはできないというのがシカゴ学派の言い分で、シカゴ学派=テクニカルですから、テクニカル論者は未来の値段なんか読むことができないというのです。
こういう現状をみれば、マーケットが常に正しい、という言い分が間違っているか、おわかりになりますよね。しかし、きのうの予測は思いっきり外しました。米中貿易摩が解消するかも、って、何を解消させるのか、さまざまな報道をみましたが、意味不明です。
商標などの知的財産権や鉄鋼アルミの過剰生産問題も全く解決しないで、どうやって、解決するのか、と思います。要は、きのう発表の貿易赤字額を、打ち消したい、トランプさんの思惑がマーケットを幻惑しただけの話になると思います。
来週は、もう少しがんばりますので、お許しいただければ幸いです。ただいま、分析中です。
(この記事を書いた人:角野 實)