23日のNY市場の下落で下方向は一息つくかと思われた米国の株式市場ですが、またしても大きな下落を示現し終値でNYダウは600ドルを超えたまま戻ることもできずに引けています。
場中から上げたり下げたりを繰り返している様子のおかしさですから、昨晩の場合は下げて終わりましたと言えばそれまでですが、様々な原因がこうした相場を動かす材料にはなっているのでしょうが、明確にこれが下落の最大原因だとは言えないところにこの下落相場の大きな特徴があるように思えます。
下落の動きを相場に出すとアルゴが増幅する相場
最近の相場の下落というのは明確な材料がなくても下方向に加速度を伴って動かせ始めるところだけ最大の努力をしてあげると、あとは短い時間足でもトレンドがでたことに反応するアルゴリズムがその動きを増幅してくれるように見えて仕方ない状況です。
いくつかのアルゴリズムが売りで反応しはじめればほかのアルゴリズムもそれについていく、その動きを見て一緒に出口に殺到するのが人間が目視で行っている裁量取引ですから、流れさえ作り出せば大幅下落を示現させるのは想像以上に簡単になってきているのかも知れません。
米国の相場の乱高下から大きな下げを見ていますとあきらかに流動性パニックが起きており、みなが売り場の出口に殺到すると必要以上に相場が下落してしまうという状況を毎日見せつけられている感じがします。
また、日経平均の場合にはあきらかに短期のファンドと思われる勢力が空売りを加速させて、10月の米株相場の損失を補填に利用しているように見えて仕方ない状況です。
12月にむけてドル円は上昇するのか?
しかし株式市場がボラタイルな動きを日替わりで見せているのに対し、為替市場のほうはユーロ以外は比較的落ち着いた動きになっているのが足元の特徴です。
ユーロドルが滝のように下落したことからドル円は逆に支えられる形となって米株、日経平均先物が大きく下げても連動して動かず、売ってもあまり妙味のない相場になってきています。
ある意味ではリスクが少ないので初心者が手掛けるならドル円のレンジ売買を地道に扱って利益を積み上げるのもひとつの方法ではないかと思いますが、例年ここから年末にかけては需給の面からもドル円は上昇することが期待されています。
実際2012年から2016年までは連続して年末に向けてドル円は上昇していますから、今年は中間選挙が間に挟まるものの例年通りに上昇するのかどうかが気になるところです。
株のほうは本当にハロウィンの下落時に買って年末に向けて儲かるのかどうかがはっきりしなくなっていますが、一定の投資家はそうした動きを示現させる可能性があることから、ポジションを減らして例年通りに仕込んで様子を見るというのも一つの方法といえそうです。
金利の上昇で機関投資家はドル買いに妙味
米国FRBはさらに来年に向けて利上げを継続させようとしていますから、足元では低迷している米10年債以上の金利も運用を考える機関投資家にとってはかなり魅力的な利率になってきていることは間違いありません。
ドル円のロングもそれなりのスワップがとれるわけですからドル円に機関投資家のドル買いが出やすい傾向は続くと思われますし、これまでヘッジでドル円を売っていた向きの買戻しもでることになると意外にドル円は下がらない動きを継続することも考えておく必要がではじめているようです。
足もとの相場状況を見ていますと、先行きどうなるのか非常に心配になりますし現実にかなり相場がぶれていることも事実ですから方向感を断定するのは決してお勧めしませんが、一応のアノマリーは今年もワークするのかどうか少額で試してみるというのは一つの考え方になりそうです。
ただうまくいかなくなれば自己ルールで必ず一旦損切をして出直しをはかるというのが重要なルールになることでしょう。またしても難しい相場の時間帯に突入してしまったようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)