10月に大きく下落した相場が底なのか、はたまた二番底は来るのかと多くの市場参加者が先行き不透明感を気にする相場が続いてきましたが、23日の東京タイムでは突然株が下がり始め、終値で600円を超える、二番底どころか今年最悪の下落を演じることになってしまいました。
しかもNYタイムには今度はNYダウ以下すべての株式相場がさらに暴落することとなり、NYダウは一時500ドルを超える下げを演じることとなってしまいました。
日経平均の先物は2万1600円台を彷徨う始末で、さすがのドル円も112円割れを示現することとなりましたが、そこからは走らず、ようやくNYタイムの後場にNYダウの買戻しが進んだことから日経平均先物もドル円も連動した買戻しが入る状況となりました。
※ドル円15分足
下落理由は複雑
今週はじめのコラムに市場のテーマが非常に多く存在しており、相場が何に反応するかわからないことを書きました。
今回の暴落はまさにそれが適切な話のようで東京タイムはほぼ中国経済と金融市場の不安定さが嫌気されて、海総合指数の下落をきっかけに前日大きく買い戻された日経平均が作為的に売り浴びせの対象となったことは間違いなさそうです。
10月NYダウやNASDAQの暴落で損失を被った向きがここで日経平均を大きく下げて損失を補填しにまわったように見える相場展開でしたが、今回はそれだけでは終わらず、日本時間の夕方5時からのトルコ・エルドアン大統領の議会演説に向けてさらに相場が下落の一途をたどります。
もうこの時点でNYダウの先物は300ドル以上下げていましたから現物株が大きく下げるのは十分に予想できたわけですが、エルドアンの口からは特別新しいカショギ氏に関する内容は飛び出さなかったもののサウジの問題を嫌気して相場は大きく下落することとなってしまったわけです。
市場参加者のセンチメントが暴落をつり出す恐怖
本邦の株式関係者の中には日経平均は下げ過ぎであると激怒する向きも存在しましたが、市場売買の中心がアルゴリズムになってしまった今、人が感じる売り過ぎや買いすぎといういわゆる裁量取引ならではの達成感やレベル感というものが足元の相場には全く通用しなくなっていることが非常によくわかったのが今回の下落といえます。
一定の下落が進めば自動的に損切するアルゴリズムも多く存在しますし、なによりトレンドがでればどのレベルからでも徹底的に売りについていくようなアルゴの売買はいくら売られ過ぎを嘆いてもオーバーシュートそのものの展開で大きく相場を売り進むことになりますから、理由がはっきりとしなくても驚くほど売り圧力のかかった相場展開になるのです。
いくらいい悪い、納得がいくいかないを口にしても走り始めたら簡単には止められないことを改めて実感させられる恐怖の動きとなったことは間違いありません。
二番底どころか本底になってしまった今回の下げの後、本日以降この相場がどう動くのか、一定の戻しのあとさらにどうなるのかが非常に気になるところです。
もそも株式市場で1日にかなり大きな値幅をもって相場が連日上下し始めるというのはバブル相場の末期によくみられるもので、投げと踏みが連日飛び出す儲からない相場であることは間違いありませんから、簡単に乗らずに様子を見ることも重要であることを改めて痛感させられた次第です。今回の下落が大きな買い場のチャンスなのかどうかはまだはっきりとはわかりませんが、さらに二番底がやってくることも考えておく必要がありそうで、一旦はここからの相場の戻り方に注目したいところです。
いずれにしてもこの下げでかなり傷んだトレーダーが多いはずですから、当面は大きく動かなくなることも想定しておくべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)