ここへ来てポンドの上下の振幅が非常に激しくなっています。それはBREXITに関する報道によるものが大きく、要人発言から英国の離脱に楽観的な報道がヘッドラインを賑わすと途端にポンドが買われることになるわけです。
英国とEUとの交渉がうまくいかないという報道が飛び出せば一転して売られる状況で、さらにこの交渉の主役となっている英国のメイ首相が声明を発表するらしいという情報が飛び出すだけでも大きくポンドが売られるという始末です。
もはやほとんどチャートをみてテクニカル的に売買するのが難しくなっている状況であることが改めて感じられます。
※ポンド円 1時間足
確かに直近のポンド円のチャートを見ますと、短時間に3円近く上昇するなど、うまくいけばドル円などを取引しているよりもかなり効率的な売買ができるのは間違いありません。
しかし上昇した後にすぐさま同じ分をネガティブな報道で戻しているわけですから、よほど運がよくないかぎりは行って来いのような相場に毎日ひっかかることになってしまいます。
これではもはや投資ではなく「博打」に近いのが実情で、本当に積極的に取引すべきかどうかはかなりクビを傾げたくなります。
交渉期限はあと半年
BREXITが決定してからすでに2年以上の時間が経過しているわけですが、なぜここまで交渉がうまく進展しないのかもう一つよくわからないところが多いのが現状です。
通常であればメインイシューというものは最初からある程度見通せるはずで、それに基づいてマイルストーンを決めて話を進めるのが有効的な時間の使い方のはずなのです。
しかし、ここへ来ても合意なき離脱が常に遡上に上がってくるあたりは、素人が見てもかなりよろしくない進め方になっていることがわかります。
またここのところほとんど報道はされませんが、仮にEUとの合意が形成された離脱であっても、その後の21か月間でEU加盟国との二国間交渉が正式に合意になって、ほとんど経済に影響のない状況にこぎつけるのはかなり至難の業であるという指摘も強く、長期的な視点でポンドを買うのも相当難しくなってきている状況です。
ここからもほとんど毎日のように報道内容に相場が振らされる日々が続くものと思われますが、結果の方向性がまったく見えていないだけに、アルゴリズムを実装しているプレーヤーのように報道次第ですぐに売買ができるならそれなりの利益獲得妙味もあるものと思われますが、果たして個人投資家がこのまま売買に算入していいものなのかどうかは相当迷いたくなる状況であることは間違いありません。
徐々に周辺通貨も振らされなくなっている
足もとではポンドが大きく売られますとユーロやドル円も巻き添えを食って売られる形が見受けられます。
しかし、さすがに連日上げたり下げたりしている関係から、市場にも今の状況に飽きがきているのは間違いないようで、クロス円全般などに出ていた影響も何度か繰り返しているうちにポンドだけの問題になりつつあるようで少しずつ市場は様変わりしているようにも見えます。
もともとポンドは対円でも相当大きく動く通貨ですから、これに慣れているトレーダーはあまり気にせず売買できるのかも知れませんが、さすがに安定的な利益を確保することを考えるとどうも積極的にかかわるべき状況ではないのではないかと思う次第で、決着の方向性が見えてくるまでは静観しているのがやはり間違いなさそうです。
年内に形が見えてこないことになるとポンドはかなり厳しい状況に追い込まれそうで、正直なところここまで悲惨な状況になるとは思ってもみなかった展開が続きます。
(この記事を書いた人:今市太郎)