読み込み中...のど元過ぎればなんとやらとよく言いますが、8月あれだけ手痛い相場の洗礼を受けたはずなのに、トルコリラ円を本邦の個人投資家がまだ延々と投資し続けているという驚くべき結果が報告されています。
確かに一旦は底をつけているわけですし金利は24％と6.25％も上昇しているわけですから、ここから取り返すチャンスと考えている人も多いのでしょう。
しかし高金利通貨がもつ大きなリスクをこうした投資家は、しっかり理解しているのでしょうか？このあたりはかなり気になるところです。
金利が高くなったというが相対取引に本当に反映される？
国内でトルコリラ円の取引をされる方は「くりっく365」での取引を選択される方も多いようですが、スワップ金利からいえば店頭業者で取引行うケースも多いことと思われます。
今回のトルコ中銀の政策金利は一気に「6.25％」ですから元の金利から考えると35％程度の金利上昇とみていいのですが、相対取引と呼ばれる店頭業者とのFX取引は、あくまで業者が提示する数値条件で取引するのが基本ですから、果たして利上げにしっかり合わせるように業者が提示するスワップ金利も上がるのかどうかが大きなポイントになるわけです。
足元ではトレーダーズ証券のトルコリラ円が1万通貨で100円のスワップになっていますが、これが果たして135円になるのかどうかが注目されるわけです。
そもそもこれまでトルコ金利が上昇してもリニアにスワップ金利に反映されてきたことはほとんどなく、政策金利が上がったからといって国内の業者で取引している限り個人投資家がより大きなスワップを稼げるかどうかは別問題になっている点にも注意が必要です。
トルコリラ原則固定という取引条件も実に不可解
最近店頭業者の取引条件を眺めていますと、トルコリラ円についても原則固定のスプレッドを提供しているところが多いのが目につきます。
さすがに「原則固定」といってもドル円並みに狭いスプレッドが人工的に作り出されているわけではありませんが、トルコリラ円といえばドルトルコリラとドル円で合成される典型的な架空通貨です。
ドルトルコリラの変動が大きくなればスプレッドも広がるはずで、取引ボリュームを増やしたいが故にあえて、こうした人工的な取引条件を出してくる業者の態度はかなり信用できないものがあります。
業者自らがトルコリラのもつリスクを打ち消している点は何とも気になるところで、いつからそんなに安心安全な通貨になったのか非常にクビを傾げたくなる状況です。
国として今後さらに苦境に立たされることに
トルコをはじめとする新興国とそこに存在する企業はここ数年米国の金利がほとんどゼロだったことから、ドル建てで債券や債務を組んでいることが多いわけです。
しかし、金利が上昇しはじめた足元の状況で、しかもトルコリラの政策金利が物価上昇を超えるレベルに設定されている中では、ロールオーバー（借り換え）すらままならない状況で、かなり国として厳しい環境に置かれていることもしっかりと理解する必要があります。
とくに市場参加者のほとんどが「買い」をもっているトルコリラ円の場合には、なにかがあるとまともに流動性が発揮されずパニック売りではスプレッドが拡がり過ぎて証拠金を超える追証を求められるケースも十分にあることをしっかり理解しておくべきです。
もちろんレバレッジで調整することも可能ではありますが、1倍であってもリスクがあることだけは認識しておかなくてはなりません。
結論を言いますと『まだ投資続けるわけ？』というのが個人的な見解で、エルドアンが大統領でいる限り、当分リスクは続くものと覚悟していく必要がありそうです。
個人的はいい加減やめておいたほうがいいのではというのが率直な感想です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
