お盆休みというのはとかくドル円下落がアノマリーとして注目されますが、今年も「トルコリラの暴落祭り」のおかげでドル円は110円割れ寸前まで下押しすることとなりました。
しかし、110円近辺ではどうやらGPIFをはじめとする公的資金がお盆休みなのにも関わらず買いを入れてきたようで、結局のところ110円割れまで試すことなくお盆休みは終了と言う状況になってきました。
足元ではトランプがツイッターで近年ではまれにみる形でドルに資金が集まっているなどと自画自賛したつぶやきをおこなったことで、ドル円はNYタイムに一瞬111円台を回復するような強含みの展開となり、どうやら一旦下攻めは終了ということになりそうな気配です。
ドル円5分足
当面111.500円を超えられるかどうかがポイント
日足で見た4月からの上昇のサポートライン
足元の相場状況で見ますと4月からずっと機能してきたドル円日足のサポートラインを下抜けたわけですが、それ以上下に走ることもなかったことから、このサポートラインを逆に上抜けて元の上昇ラインに戻れるかどうかが大きなポイントになりそうです。
今のところ111.500円を超えられるかどうかが注目されますが、上昇してもこのレベルに抑えられた場合には再度下値を試し直すことも考えられるだけに、ここからの動きに注目したいところです。
ユーロドルは1.13に接近したところで一旦ショートカバーしているため、ドル高も全体的には一服感がありますが、トルコ情勢の今後次第ではまたドル高方向に大きく動くことも予想されるため注意が必要です。
来週一週間お休みのイスタンブール市場
トルコリラ円 5分足
来週トルコイスタンブールの市場は「犠牲祭」というなかなか痛ましい名称のお休みのため、ほぼ一週間が休場となりますが、その外側で為替相場がどのように動くのかも大きく注目されます。
トルコリラだけは対円でも19円台まで戻してはいますが、一旦スワップコストを避けるために売りを買い戻した投機筋が、改めてトルコリラを売りに回って場合さらに下落が続くことが十分に考えられます。
一般的には新興国通貨の暴落は一回だけでは終わらず、二番底をつけに行く動きがでる可能性がありますし、なによりさらに下落することさえも視野に入れておく必要があり、油断は禁物です。
今週トルコリラ円の動きとドル円の動きがシンクロしたのには驚かされましたが、来週再度トルコリラの下攻めが再開した場合ドル円も一緒に押されて再度110円割れを試しに行く可能性も残されています。
とにかくドル円の場合には、テクニカルだけでは判断できない要素を酷く多数抱えた中で相場が動いていくことになりますので、上下方向両方に気を配る必要がありますし、突発的な事象で下落する可能性は十分に秘めている状況ですからどんな状況でも、必ずストップロスを入れることで資金を闇雲に減らさない努力が必要になりそうです。
今年の夏に関しては米株が大きく下落するという中間選挙年のアノマリーがまったく見られない状況ですが、まだ半月弱は8月も残っていますから引き続き注意していくべきでしょう。
トルコリラ円にからんだ本邦の個人投資家はかなりの額の損失を今週確定させてしまった方も多いようですが、まだまだ安心できるものではありませんし、いきなりテールリスクが顕在化して大きな下落を招いてしまうことにも相当な注意が求められる状況です。
この9月でリーマンショックから丸10年となりますが、この間に大きな下落がなかったことが不思議ともいえるわけで、いつなにが起きてもいいように常に防御の体制だけはとっておきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)