トルコリラが対ドル、対円で大きく買戻しを進めています。人によっては「ようやく底を打ったのか」と思われている方も多いと思いますが、実はトルコ市場の休場が微妙に係わっているようです。
実は21日から24日までイスタンブールの証券取引所が休場となることから、なんと金曜日(今朝)の朝6時までポジションをもっていると7日分のスワップの支払いが起きてしまうわけです。
まあ逆に買いを考えている個人投資家は7日分のスワップがつくわけですから果敢に買いに向かっている方もいるのかも知れません。ここまで売り込んできた投機筋が一旦手仕舞いをして、本日から売りなおすということも十分に考えられるわけです。
トルコリラ円でいいますと随分と値を戻したように見えますが、もはや1日に2円や3円は平気で動く通貨になってしまいましたから、値を戻したから安心とは決して言えない状況が続いていることはしっかり認識しておくべきでしょう。
一部の店頭FX業者はトルコリラ円のレバレッジを10倍に規制
国内の店頭FX業者はいよいよトルコリラ円の「レバレッジを10倍」などに自主規制してくる動きを見せ始めています。私のところに届いたメールではセントラル短資FXが10倍規制を実施し始めており、当然のことながら証拠金はそれにともなって大きなものを用意することが必要となります。
同社の場合には20日からレバレッジ10倍としますが、すでに保有しているポジションの証拠金はそのままにするようです。
セントラル短資FXの場合には南アフリカランド円も同様の扱いにするようで、とりあえず相場が落ち着くまではこの状態を継続しているとしています。さすがに既存ポジションについては配慮をしてくれているようですが、ここからは買い増しするのも大変になりそうです。
スプレッドが1日の売買値幅分ぐらい広がる業者も登場
足元ではカバー先となるインターバングもまともに価格を出してこないことから、業者の提供するトルコリラ円のスプレッドが広がりっぱなしの状態になっているようで、酷い業者になると1日に値幅分ぐらいスプレッドが開いたままの状態での売買を余儀なくされているようです。
したがって買っても同値で撤退することなどできるはずもないわけで、とにかく売買自体がとてつもないリスクとコストを強いられる状況になっているようです。
肝心のスワップ金利もどうなるかわからない
さらに困ったことにはスワップ金利も今後どうなるのかがかなり怪しくなってきているようで、業者によっては金利が上がってもスワップは下がるというリスクも発生しそうな状況です。
もともとスワップ金利は取引する通貨ペアの金利差で発生すべきものですが、店頭FX業者との取引形態は相対取引と呼ばれるもので、必ずしも市中の条件がそのまま適用になる訳ではありませんから、こちらも今後どうなるかわからなくなってきているようです。
せっかく高金利だからこそロングを長期保有しているのに、スワップが減るようでは話になりませんが、実情はそういうことのようです。
機関投資家は損切り終了だが個人投資家はまだ結構残っている
最後にもっとも気になる情報ですが、今週はじめに15円台初頭まで下落したことで、トルコリラ円のロングは相当数が強制ロスカットの憂き目にあったようです。
またトルコ関連の債券を保有していた機関投資家などもトルコリラ損切を大量の行ったようです。
しかしながらそれでもしぶとくポジションを保有している本邦の個人投資家は、店頭FX業者によっては相当数残っているのがどうも現実の状況のようで、ここからトルコリラ円が15円を大きく割り込んだ場合には、さらに相場が走ることが考えられます。
また、トルコの銀行が破綻といった場合にはまともな取引ができなくなるリスクもあることだけは改めてしっかり認識しておく必要がありそうです。正直なところ下げ止まったから、改めて買うなどという状況ではないことだけは間違いありません。
(この記事を書いた人:今市太郎)