毎年8月になりますと、理由ははっきりとわからないものの、どうしても円高に振れることが多くなるのが「豪ドル円」です。
おそらく何の理由もなく下落するのではなく、我々では確認できない「なんらかの要因」が影に隠れているだけなのだろうとは思いますが、プロが見ていてもその材料が明確に見当たらないことから、ドル円の8月の下落はアノマリーとして扱われるものとなっています。
さてちょうど8月月初ということですから、今年もこのアノマリーが豪ドル円の下落しで機能するのかどうかについて注目しておきたいと思います。結果はまた月末にご報告していくことにいたします。
※豪ドル円週足
足元の週足のチャートは上のようになっており、ここ数か月は大きなトレンドが出ているとまでは言えない相場が続いています。ほぼレンジ相場といった感じで値幅は4円程度で推移していることがわかります。
過去の相場を眺めてみると・・
※2017年8月近辺豪ドル円日足
まず昨年の状況を見てみますと7月後半の高値から月初には下がり始め、8月11日にその月の下値を模索する動きがあり、その後一旦戻しますが、さらに下落して後半から上昇して9月に入っていることがわかります。
※2016年8月近辺豪ドル円日足
2016年を見てみますとやはり8月に入ってから下落し、一旦戻してまた底値を付けたあと9月に向けて上昇していることがわかります。
※2015年8月近辺豪ドル円日足
さらに2015年8月を見ますと、前半は下落の気配がなかったものの、この年はチャイナショックで24日の夜に激しく下落することとなり、結果的に月間では陰線引けで終わっています。
このようにたった3年しか見ていませんが、過去10年程度で見ても豪ドル円は8月に下がりやすいことがわかります。ただしお盆を過ぎるあたりから値を戻すことも多くなりますので、ある程度利益を確保できたら、一旦はリカクしてまた様子を見るといった細目な対応が必要になりそうです。
過去の実績をもとにした「アノマリーベース」の投資の場合、5割程度の勝率ではさすがに危なくて簡単には乗れないものですが、7割や8割といった勝率になってくれば話は別です。
確率の高い方向に賭けるのがFXの原則ですから、こうした顕著な例については一旦乗ってみるというのも一つの考え方になります。もちろん「トレーリングストップ」を置いて戻り始めたら確実にリカクするとか、最初から方向が違う場合には躊躇することなく損切りするといった適切な対応が必要になるのは言うまでもありません。
中国ネタが出るたびに売られることが多い豪ドルですから、今年の夏に関しては試してみる価値は十分にありそうです。豪ドルといえばひと昔前までは「高金利通貨」として機能する代表的なもので、豪ドル円は基本的にスワップ狙いで買うのが基本となったものです。
しかし、今やドルの金利が高くなってきて必ずしも豪ドルは高金利とは言えなくなってきていますから、逆に豪ドル円を売るという発想も十分に機能するようになってきているのです。
例年ドル円は8月下押しすることが多く、過去20年でも7割近くが円高に振れています。クロス円の典型的な存在でもある「豪ドル円」がこれに影響を受けて下押しするケースも多いだけに、お盆までのシーズンをターゲットにして豪ドル円を売ってみるというのはなかなか面白い発想になりそうです。
米国の株式市場も若干センチメントが変わりつつあるようで、夏に大幅な下落を示現するリスクも高まりつつあります。ここはさらに下落精度の高くなる豪ドル円で勝負してみるというのもなかなか面白い取引になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)