読み込み中...11日から突然堰を切ったように上がりだしたドル円ですが、結局113円台では1月の高値を付けることができずにトランプのドル高けん制発言にやられる形で予想以上の下落を示現してしまいました。
19日のNYタイムに一旦トランプ発言でぶっ叩かれたドル円は、なんとか112円台をキープはしていました。しかし、20日の東京タイムから上値がどんどん重くなる始末で、112.400円レベルにも戻れなくなり、案の定112円割れを試す動きとなりました。
トランプ砲の下げも一旦111.700円レベルで収まったかのようにみえたものの、日銀が30、31日の金融政策決定会合で、鈍い物価動向を踏まえ、物価２％目標の実現に向けて金融緩和策の持続可能性を高める方策の検討に入ったという報道で、さらに叩かれ111.400円台まで下落幅を広げました。
金融緩和政策の長期化が避けられない情勢の中でさらに、金融仲介機能や市場機能の低下など副作用の強まりに配慮し、現行の長短金利操作（イールドカーブ・コントロール政策、YCC）付き量的・質的金融緩和における長期金利目標やETF（上場投資信託）など資産買い入れ手法の柔軟化などが選択肢になるというのが報道の主な内容でしたが、こちらはタイミング的に下落の極めつけになってしまったというわけです。
またトランプ自体もECBとBOJはいつまで緩和をやっているのかといった発言をし始めており、今後緩和措置をめぐってトランプが攻撃してくることも十分に考えられそうな状況になってきています。
週明けは戻り売りからスタート
さて週明けのドル円相場ですが、ここまで勢いよく下落し、しかも最後に多少の下髭をつけて戻ることすらなく引けてしまいましたから、週明けはさらに下落する可能性も否定できません。ただ、相変わらず下値ではM&Aに絡む買いもみられるようですから、一旦は戻りを試すこともありそうです。
ただフィボナッチリトレースメントで見ますと今回の下落のスタートとなった112.500円レベルから見ても、112.054円が61.8％戻しとなるだけに、そもそも112円台に戻すのは相当厳しい状況になってきたものと思われ、相場のプライスアクション次第ではその下から「戻り売り」をしてもいいのではないかと思われます。
ドル円15分足
既に、ご存知の通り今回の上昇のブレイクポイントとなったここ2～3年の継続したレジスタンスラインが通っていた111.600円レベルを明確に下抜けてしまいましたから、111.300円レベルがサポートラインになるかどうかが注目されるところです。
この下落によって111円台後半で売りポジションの損切りもできないまま抱えてきた、本邦の個人投資家の売り玉が一気に解消することとなりましたから、逆に112円台の上値でドテンして上昇を狙ったままポジが逆に上値を抑えかねず、113円台への再上昇は相当難しくなったといえます。
ここ1週間以上中国人民元安はドル高であり、しかもヘッジとして円を売るからもっともドル円が上昇するのであるといった解説が市場で横行しましたが、20日の東京タイムで人民元が大きく売られた結果、株価は下げるは、ドル円は連動して下押しするはで、必ずしもこうした動きがドル円113円台に押し上げてきたわけでもない一時的に相場の不相関であったことも見え隠れしてきます。
為替相場は確かに理路整然としているわけではなく、常に理不尽な動きを示現させることが多くなりますが、どこかでそうした理不尽さがいきなり解消されることもあるのもまた事実で、トランプ発言は結構相場をまともな方向の揺れ戻している感があります。
相場を断定してしまうべきではありませんが、下方向に戻ることも十分想定して臨みたい一週間となりそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
