週明けの為替市場は東京タイムが休日だったことあって、大きな動きにはならずにNYタイムまで通過する狭い範囲の上下に終始することとなりました。
本日はNYタイムに「パウエルFRB議長が議会証言を行う」ことから、その内容次第で相場が動くことが予想されます。だいたいこの手の議会証言は事前に何を言うのかがペーパーで配布されることになりますから、相場は前倒しで動くことが予想され注意が必要です。
トランプ政権を忖度すれば弱気発言に
「クドローNEC委員長」は既にメディアのインタビューに応えて、「利上げは極めてゆっくり」などと通常政権関係者が口だししないはずの中央銀行の政策にお願い、などという形で利上げスピードを落とすように公然と発言しています。
これがトランプの意向なのか、クドローの個人的な見解なのか、はわかりませんが、中間選挙を前にして闇雲に利上げを進めて株価を大きく下落させたくないとは誰でも思うはずで、すでにこうした政治側の意向をくみ取ったのか、セントルイス連銀のブラード総裁は早急な利上げは逆イールドをおこしかねないと警鐘を鳴らし始めています。
ブラード自身はFOMCの投票メンバーではありませんから、あくまで外郭的な影響を及ぼすだけですが、これまでもブラード発言に沿ってFRBが動いてきたという、なかなか謎めいた存在ですから、政界の意向をいち早く風見鶏として取り込んでいる可能性はありそうです。
そもそもパウエル議長はイエレンを無理やり辞めさせて、トランプがクビをすげ替えた存在ですから、経済系の学究肌でもなんでもない存在だけに、トランプの言うことだけ聞く可能性も極めて高く、今回の議会証言でのトーンが非常に注目されるところです。
当然のことながら利上げに対して弱気、もしくは消極的な発言が前面にでることとなれば、株は好感するでしょうが、為替はドル円が下落する可能性を含んでおり、とくに積もりに積もった米10年債の売りに、まさかのほどきの買戻しが出始めるようですと、相当に10年債金利が下落してドル円もそれに巻き込まれる可能性があります。
強気を維持した発言なら株価が大きく下落する可能性も
逆にこれまでの基調通り金利上昇は年内4回を示唆し、今後もインフレの状況を見ながら利上げを行うといった強気の発言が飛び出せば、株は逆に下落の可能性を伴うことになります。
そもそもパウエルは議長就任以来、メディアを含めて公で発言すると株が必ず下落するという不気味な存在でもあることからかなり注意が必要です。
ただ、すでに公開されているFOMC議事録でも、金利の中央値は2.75%で短期金利を3%以上にしない旨の議論が載っていますから、強気発言が出ることはあまりないのではという見方も強くなっています。
いずれにしても細かい発言のトーンで、相場は結構大きく動くことになりますから、十分に注視しながら売買をすすめていきたいところです。
FRBが利上げをこの場に及んで後ずれさせるような政策をとった場合、足元のバブル相場はさらに延命することが考えられ、株価にとってはFRBのここからの政策がきわめて重要です。
トランプが行っている政策は悉くインフレにつながるものだけに、このバブル相場を延命することでさらに相場が歪んでしまうリスクが高まることも確かで、2019年には非常に大きな相場の下落リスクに直面しかねない状況です。
とにかく今後の相場はFRBの采配次第となるため、パウエルがどのような考え方を口にするかは非常に大きなポイントになりそうです。
株価はサマーラリーの可能性を残しているといえますが、果たしてドル円をはじめとする為替に同様の状況が訪れることになるのかどうかはまだはっきりわからないのが正直なところではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)