週明けの東京タイムは朝からポンドが「BREXIT」に一定の目途が立ったことから買い戻されたものの、デービス欧州連合(EU)離脱担当相と側近のスティーブ・ベーカー次官がメイ首相のやり方を支持できなとして辞任したニュースが伝わったことで反転下落、ドル円もそれにひきずられて一瞬下押しする場面が見られましたが、結局大きな動きにはなっていません。
7月はさすがに後半から夏休みに入る時間帯ですので、徐々に為替相場の動きが悪くなるシーズンでもありますが、それにもましてドル円は値幅がかなり縮小しはじめていますし、ユーロドルもどちらに動こうとしているのか現時点でははっきりしない相場状況が継続中です。
毎日為替相場でポジションをもっていますと何か売買していないと儲けにつながらないという焦りを感じる方も多いことと思いますが、無理して相場に参入しないで様子を見るというのも非常に重要な行為であることを認識することが必要です。
短い時間足でもトレンドのない相場は入らないこと
どんなに方向感がなくてもごく短いスキャルピングならば多少の利益を確保することはできるものですが、それでもさすがに限度問題があり30銭も動かない相場はそもそもエントリーができないのが実情です。
値幅がそれ以上あっても方向感がない相場ではだいたい買っても売っても損切させられやすくなるのが常で、結局やられが大きくなると証拠金を無闇に減らすだけになってしまう危険性があることから、すっぱり諦めて手を出さないという発想も重要になります。
通貨ペアによってこうした手を出すべきでない期間や時間帯というのはかなり異なるものになるものですが、ドル円は夏場にこのような方向感のない時間帯を過ごすことがここ数年多くなってきていますから、どうしてもやるならほかの通貨ペアで一定のトレンドが出ているものを見つける努力をするほうがよさそうです。
各資本市場の相関性は崩れる一方
バブル相場の末期には常にみられる状況なのが各資本市場間の相関性、逆相関性の崩壊です。
たとえば足元の相場では原油価格が上昇すれば本来ドル円は下落するものでしたが、こちらは完全に逆相関が崩れましたし、そもそも原油価格が上がってもカナダドルが上昇することはなくなってしまいました。
足元では日経平均が上昇してもドル円は全くその影響を受けない状態になっていますし、逆に下落しても一緒に下げることもなくなりつつあります。
だいたいこうした相関性、逆相関性が切れるということは大きな相場調整がやってくることを示唆するものですが、さすがにこれだけで常に売りで相場に入るわけにもいかずかなり難しい判断を求められる時間帯にあることがわかります。
最近レイダリオ率いる世界最大級ヘッジファンドであるブリッジウォーターがあらゆる資本市場に対して弱気発言をしはじめたことから、同様の幅広い商品に投資しているファンドが軒並み投資を閉じ始めていることもあり、あらゆる相場に方向感が失われ始めている点も気になるところです。
さすがにファンド勢もすべての市場から資金を引き揚げては食べていかれないことから限定的なエリアだけでのトレーディングベースの売買は継続しているようですが、長く市場で生き残っている市場参加者であればあるほど 売買に慎重になっているようです。
為替の場合はまだそこまで深刻な状況というわけではありませんが、なんだかわからないけれどとりあえず買ってみるとか売ってみるといったやり方は、できるだけしないでしっかり様子を見ることに専念するべきではないかと思います。
トレーダー自身の資質が問われる夏の時間帯というのが足元の相場のようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)