読み込み中...7月第一週のドル円は上値試しの動きから始まりましたが、111円にはかなり大きなオプションが存在しており111円を超えるとオプション見合いの売りが阻まれる形で何度か111円超えを見ることができたものの、結果的には5月21日の高値を超えることができずに週末は110円台中盤で週の取引を終了しています。
ドル円日足
もちろんここから111円台を狙う可能性はまだ残されていますが、徐々に上値追いの力が弱くなってきていることも事実で、日足では無理やりラインを引けば三角持ち合いの形状を維持しており当面横展開か一旦下抜けするリスクに注意が必要になりそうです。
日本株が下げてもドル円が下げないのはレパトリが影響か
ここのところあらゆる通貨に対してドルが強い状況が続きましたが、トランプの中国と同盟国を相手にした貿易制裁に加え、世界の安全保障から手を引こうとする鮮明な態度を察知して、米系ファンドが大規模な資金の米国へのレパトリを行い始めていることがドルを強くしているという見方が強く、こうした一連の資金還流が終わると、いきなりドル円も下がり始めるリスクがあることには注意が必要となります。
確かに言われてみますと、ここのところの日経平均が2万2000円を割り込む展開はどうみても外国人投資家が売り向かっているように見え、日本からも外国人の資金が逃げているとすれば、円を売ってドル転して米国にお持ち帰りという構図が、株の下げとドル円の高値維持を示現する大きな要素になっているともいえそうです。
M&A案件が微妙にドル円に影響を与えているという見方も
先週は「大陽日酸」が50億ユーロで欧州事業買収を決定し、これを受けたユーロ円買いが実際に買い切り玉ででていたようです。
当然ユーロ円などはそれだけでは買いを吸収しきれませんから、ドル円を勝手ユーロドルを買うという分割の買いが出たことはまちがいなさそうで、東京タイムから散発的な買いが観測されていたようです。
ただし金額が6500億円弱ですから、こちらは一旦終了してしまったようで、短時間での影響となった模様です。またブリッジローンでしのいでいた武田のシャイヤー買収はさすがに金利の高さを嫌気していまごろになってドル円が下がると五月雨的な買いが継続しているようで、これが延々と続く限りは意外に下値も堅そうな状況となっています。
本来は108円台でも購入できたはずですから、一体アドバイザリーファームもいてなにをやっているのかとクビを傾げるディールではありますが、これが完了するまでは下値の堅い動きが継続しそうです。
Data Investing.com
直近のドルインデックスを見ますと6月の高値からかなり垂れ始めており、ここまでのドル高相場も一息つきそうな気配が強まりつつあります。
米系ファンド勢は足元の相場を相当弱気に見ている
米、欧の中央銀行がレベルはともあれ、明確な金融引き締めに動いており、日銀も影で国債の買い入れを減らすという事実上の裏の金融引き締めにも見える動きが出ている中ではこれまでの異常とも思えた過剰流動性が解消して資本市場に流入される資金が縮減するのはわからない動きではありません。
たたそれ以上にファンド勢は投資資金を現金化して手元に置いておく動きを明確にしていることから、この動きがどこで一息つくか次第でドル円の上昇の終了タイミングが見えてくることになりそうです。
今週NATO首脳会談において、トランプが加盟国に対して負担金をもっと増やすようにごねることはもはや規定演技となりつつあり、状況が悪化した場合は一転してリスクオフ相場が加速することも十分に考えられます。
この場合には円高が進むことも一応想定しておいたほうがよさそうな状況です。
ここ10年の過去の動きをみてみますと7月は米債金利が上昇しないことが多くドル円も7割近くが円高気味に動くのが特徴となっていますので、月初のドル円水準よりも低い方向に相場が展開することも考えておくべき状況といえます。
（この記事を書いた人：今市太郎）
