金融庁の国内仮想通貨業者に対する行政処分が出てからというもの、ビットコインはかなり値を下げる形になってしまっていますが、これはやはり日本人投資家のある投資行動が大きく影響していることがわかりはじめています。
本邦個人投資家のレバレッジをかけたBTCFXが大きな存在
CryptoCompareによりますとビットコイン取引の平均ではほぼ6割、足元では5割が日本円による取引で取引全体の半分を日本人が支えていることがわかります。
また国内の取引所では新規の登録が規制されてしまったbitFlyerFXがダントツに多く全体の88.5%がこの取引所におけるいわゆる仮想通貨FXによる取引を行っており、ほとんど現物取引ではない状況が浮かび上がります。
同取引所は15倍のレバレッジがかけられるわけですかが、少額でビットコインに投資する向きがほとんどレバをかけたリスキーな投資に挑戦しているのがビットコイン取引きの大きな特徴になってきてしまっているのです。
どうりで、50万円かそこいらの価格が260万になればレバレッジをかけているわけですから簡単に「億り人」をが登場するのも納得できる状況ですが、逆に一旦下げ始めますと皆が投機で購入しているだけなので下げの局面で強制ロスカットや追証を求められる激しい下落に見舞われて、流動性の枯渇から一気に下落に拍車がかかるものになっていることも判り始めています。
スプレッドの広がりが証拠金以上の損失を示現
上の表はビットフライヤーFXにおいて15倍のレバレッジを利用して1BTC分購入して価格が下落すると、どうなるかを示した表です。
今年のはじめかなり価格が高かったビットコインですから200万が80万あたりまで下がると、だれしもがチャートからみて押し目買いのチャンス到来と思うわけです。
そこでこの80万円あたりでビットコインFXのBTC JPYを20万円の証拠金総額を取引業者に預託し、1ビットコイン分15倍のレバで購入したとします。
購入証拠金コストは15倍のレバですからたった46,000円強で購入可能となりますが、これがさらに相場下落で価格がまさかの70万にさがってしまいますと、下落した10万円はもろに証拠金から含み損として差し引かれることになり、結果余剰証拠金はたったの53,333円になってしまうのです。
ビットフライヤーFXの場合強制ロスカットは証拠金維持率50%ですから23,000円を切り始めるといよいよロスカットを食らうことになりますが、本邦個人投資家の一切損切を置かずに強制ロスカットまで延々と粘る売買方針が裏目にでてしまうのです。
このBTCJPYの場合まず価格が大きく下げ始めますと通常のFXのドル円などとは大違いですからスプレッドが異常に広がることになってしまうのです。
結果的に証拠金維持率50%の強制ロスカットがワークせず、大きな下落局面では証拠金以上の損失を示現させてしまうことなるのです。
上の表では65万円になった段階では完全に強制ロスカットになってしまうわけですが、スプレッドが広いとさらに強制ロスカットが効かずに投入証拠金額を簡単に超える損失を食らうリスクも背負うことになります。
そもそも足元の仮想通貨取引所では下がったから売りをだしてもまともにオーダーが約定しないことがしばしばですから、ロスカットを事前に入れていてもそれが機能しない状態で、とにかく最安値まで突っ込んで証拠金が残っているならなんとかセーフ、それ以外はほとんど追証を要求されて強制ロスカットが施行され、借金だけが残る形になってしまうのです。
この強制ロスカットは業者ごとに同時刻に執行されますから、そのタイミングでまた一段相場が下がるという悪循環が現れることになります。
ゼロカットシステムのハイレバ海外FXのほうがまだ安全
ビットコインの場合いくら損するといっても現物を現金で買っているかぎり損失は下落の実額のみの含み損で、そこから特別な資金を必要とはしないのですが、たいした証拠金もいれずに上下の値幅変動の大きなビットコインで15倍のレバを利用すれば、たしかに400万だ500万だという損失を食らってしまい、しかも追証を求められる状況は簡単にやってくることがわかります。
888倍や1000倍というハイレバレッジの海外FXも危ない存在としてよく名指しされますが、実際のこの国内のBTC JPYを見ていますと、安心度が全くことなることがよくわかります。
888倍のXMでドル円10万通貨を購入するとほぼ12300円程度の証拠金ですが、1円想定した方向に動けば10万円の利益になり、逆方向なら同じく10万円の損失となります。
しかし通常のFXならそこまで損失を出さなくても自分で設定したロスカットがワークしますし、最悪損切をしなくてもすべての証拠金がなくなればそれ以上の追証を求められることはありませんから、20万投入したら最大損失は20万で済むことになります。
ドル円なら1日平均しても1円以下の上下幅の動きしかありませんから、よほどの暴落でないかぎりすべての証拠金を失うリスクも非常に低いのが現状です。こうしてみると、ビットコインFXに15倍ものレバをかけて過少な証拠金で売買することがいかに無謀で下落したとたんにすべてがお仕舞いのなるのかがよくおわかりいただけると思います。
やはりビットコインFX投資はハイレバの海外FXと比較してもダントツに危ない存在です。
(この記事を書いた人:今市太郎)