読み込み中...為替市場はユーロドルもドル円も今一つ方向感がはっきりせず、さまざまな材料が飛び出しては上げたり下げたりするだけで明確なトレンドは出ていません。
いよいよ7月入りということで来週は7月6日に米国が示した対中国関税措置が本当に執行されるのかどうかに注目が集まります。
ここのところろ米国側の要人発言から楽観的な見方が広がったり一転して悲観的な見方になったりすることから相場が上下に振れていますが、肝心の中国との対話が進んでいるのかどうかはまったくわからず、このまま7月6日を迎えてしまいそうな気配も感じられる状況です。
株式相場もこうした状況に敏感に反応していますが、まだ大幅な下落にはなっておらず、依然として楽観論が支配しているようにもみえます。
ただ、7月を迎えると相場の雰囲気が大きく変化することも十分に考えられるため、足元のセンチメントがそのまま継続しないケースも視野に入れて売買をしていく必要がありそうです。
人民元安が進む中国
市場ではそれほど大きな話題にはなっていませんが、中国人民元が粛々と下げ始めており、中国当局も積極的に支える動きを見せていません。故意にやっているといえばそれまでですが、果たしてこの人民元安もトランプがどこまで許容するのかが注目されるところです。
Data Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/quote/USDCNY:CUR
トランプ政権は自国の物価が広範な関税の適用で上昇しないようにドル高を容認する姿勢も覗かせていますが、人民元安が大きく進むことになれば対ドルでの赤字額がさらに増加することになるだけにどこまでが許容範囲になるのかにも関心が集まりそうです。
また中国株も大きく下げ始めており、2015年には3000ポイントを割ったところで世界的に大騒ぎになり日経平均も上海株の状況を見ながら上下していたことが思い出されますが、こうしたことが再燃されないのかどうかも非常に注目されるところです。
なぜか足元では中国人民元の話も中国株の話もところどころでは報道されていますが、市場の大きなテーマにはなっておらず、逆にそれが不気味でもあります。
先般のイタリアの政治リスクの時もそうでしたが、急に市場がクローズアップしはじめるといきなり相場が動くことがあるわけですから、今が平穏でも先はどう変化するかわからないと思っている必要があります。
関税第二弾の実効に向けて相場の下落も
6日の対中国関税実施の第一弾についてはかなり市場も織り込んでいるように見えますが、第二弾の対中関税160億ドル相当の中国製品284品目に対する２５％輸入関税導入や2000億ドル相当の中国製品への10％関税がどこまで追加で実施されるかに焦点が当たることになり、これがすべて現実のものになった場合には株式相場が持ちこたえられなくなるリスクは相当高まりそうです。
そもそも米国は中間選挙実施年の7月、8月はほぼ株式相場が低迷するのがアノマリーとなっているだけに普通にしていても株価は下落傾向にあるわけですが、そこに対中関税の問題が上乗せになれば相場に異変が起きることはほぼ間違いないはずで、来週以降についてはドル安円高が再燃する可能性に留意して売買することが必要になりそうです。
中国は米国が仕掛けようとしている関税対象品の金額のほぼ3分の1程度しか米国からの輸入品がありませんから、すべて関税で報復することは難しく、自らの損失を覚悟で米債を売りに回るようなことがあれば、本格的な戦争になるだけではく、金融市場が相当混乱することも考えられます。
為替市場はなぜか楽観論が残っているようですが、いきなり事態が深刻化すると大きく相場が下げる原因になるだけにドル円のロングを長く保持するのは危険な時期に入ってきそうで、売買にもそれなりの工夫が求められることになりそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
