6月も今週でお仕舞いということになりますが、為替市場の世界では今週は月末であり、また四半期末かつ海外では半期末を迎えることから、実需にともなう特殊玉がLondon Fixに登場することにかなり注意が必要になりそうです。
ユーロドルはまたしても下落
トランプ発言で中国にはもっとも厳しい制裁を科さないといった内容が伝わったことで、NYダウもドル円も大きく上昇することとなりましたが、手掛かりとなるのはその一言だけで、しかもその後NEC委員長が全く逆さまの発言をしたこともありプラスに動いたNYダウもNASDAQも反転下落に転じることとなりました。
ドル円は一応110円台を保っていますが、200日線を下抜ける場面もあり必ずしもサポートラインとして機能していないのも気になるところです。
ユーロドルはドル円の上昇とはまったく対照的にまたしても1.15台を伺うような下落を演じており、ここからさらに下抜けするのかどうかが非常に注目されるところです。
ユーロドル4時間足ユーロドルは1.15ジャストにどうもダブルノータッチオプションがあるようで、ここからは相当な防戦買いが出る可能性があります。また冒頭にも書きました通り、半期末という特殊な時間帯にさしかかるため、ユーロドルではユーロの特別な買い玉がでることが多くなります。
いわゆるレパトリのためのユーロ買いということになるわけですが、資金の還流ですから、相場のレベルとは関係なく時間を区切って買いが入ることになりますから、木曜、金曜のLondon Fixにはかなり注意が必要になりそうです。
ユーロドルは短期間にかなりの高低差を持って動いていますが、ドイツの政情不安、米欧の貿易問題にイタリア政局とどれをとってもユーロ買いにならない材料が目白押しとなっていることからやはり大きく戻したところは絶好の売り場になっていることがよくわかります。
ただし、トランプ発言で急に相場が振らされることも事実で、長くポジションをかかえていたくない相場状況が続いていますので、ユーロも実際の売買はなかなか難しい状況といえます。
EU首脳会談の結果次第では週末にむけてドイツの政局が加速する可能性もありますので、とにかく一旦様子を見ることも必要になりそうです。
ドイツ銀行の株価下落も気になるところ
ここのところ株価の下落が継続していたドイツ銀行はとうとう27日に1株9ユーロ割れを起こし、2016年につけた最安値に迫る下落ぶりを加速させています。
ドイツ銀行の株価低迷は同行自身の業績不振の問題もありますが、7%以上を取得している大株主である中国複合大手海航集団(HNAグループ)の問題も色濃く表れてきており、このグループがみずからの債務返済のためにドイツ銀行株をさらに手放すのではないかという思惑から、先に株が売り込まれる状況となっています。
メルケル政権にとってみればドイツ銀行の破綻はとんでもないリスクとなるわけですが、現状ではメルケル自身が首相を続けられるかどうかもわからなくなりつつありますから、それどころではないはずで、この間にドイツ銀行の破綻リスクが高まることになるとユーロ主導で大きく為替が動く危険性がかなり高まってきているといえそうです。
来週から7月相場になりますが、いきなり週明けからセンチメントが大きく悪化し、トランプの関税問題以外にもドイツ起因の問題が相場を動かすリスクがあることも意識しておいたほうがよさそうです。
そういう意味ではユーロドルはなにかの材料で大きく値を戻したときに売り場を探してみるのも面白いかも知れません。とにかく状況がすべて出そろうまで様子を見てもまだまだ売買チャンスはありそうですから、週があけてからアクションを起こしても遅くはなさそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)