20日のNY市場はNYダウがパウエル議長の利上げ継続発言に敏感に反応して売られましたが、米10年債利回りは逆に上昇しそれにつられるようにドル円も110.450円台まで戻す形となっています。
貿易問題は双方が関税に関して応酬するとしても急激に話が詰まってくるわけではないので、一定の言合いが終わると当座の材料出尽くしとなることからずっと下げを続けるものでもないようで、結構難しい相場になりつつあるようです。
ドル円に対する大方の市場参加者の見方はやはり先行き下方向に向かうという想定が強いようで、相場は売り上がっている気配が強く、強力に戻り売りをしてくる向きがいないとショートになりすぎてまた逆に上昇してしまいそうな雰囲気になりつつあります。
しかしこの状況下でトランプのツイートによる貿易問題に対する発言が飛び出せば状況はまた一変することになるため、ロングで買い向かっているのもドル円に関してはかなり難しいところに差し掛かっているようです。
ユーロは向こう1年利上げなし確定なので売り主体が定着か
ドルの動きに大きな影響を与えるのがユーロで、ECB理事会で向こう1年間は利上げなしということだけ明確になっていますから、中央銀行間の政策のコントラスト上ユーロはどうしても売られる存在であり、ドル安の展開になっても大きく戻せない可能性があり、ユーロ円の動きもドル円に微妙に影響してくることになるため、ドル円は上昇してもかなり緩やかな動きになりそうです。
結果的に足元の市場ではドル、円、スイスフランが底堅い展開となっていることから、ドル円にしっかりとした方向感が出ない状況でこの相場は米中n貿易紛争が続く限り長く継続する可能性もありそうです。
低迷していたドルインデックスは久々に高値を回復してきており、全体的にドルが強い相場が続いていることを明確に示しています。
ドルインデックス 週足
こうした地合いではドル円は貿易問題がでるたびに下げたり戻したりする始末でj、結構取引しにくい通貨ペアになってきていることがわかります。
ドルの上昇を嫌気する新興国市場
ドルのこのような上昇を新興国市場はかなり嫌気しているようで、先週のFOMCでの追加利上げ後も明確に新興国から資金が米国へと逃避し始めているのは明確で、果たして市場が癇癪を起こさずに済むのかどうかがかなり微妙になりつつあります。
特に資金の還流のみならず多くの新興国が米ドル建てで発行している債券にも影響を与えることは間違いなく、ここから何事もなく夏場を過ぎることができるかどうかも相当微妙になりつつあります。
こうした状況が強まることになれば当然ドル円は下落することになりますので、ロングでついていくこと自体が危険ですから、ここからのドル円の売買は広範な相場状況をよく確認しながら進めていかざるを得なくなりそうです。
市場には新興国の相場状況は2013年に当時のFRB議長のバーナンキがQEの終焉をいきなり口にした状況とは異なり、既に米国は明確に利上げに舵を切っていることを市場が織り込んでいるので、パニック売りにはならないという見方も強まっています。
しかし、、米欧の中銀が引締めに動いているなかでの金利上昇ですから、これまでの過剰流動性に大きな巻き戻しが入る可能性は十分にあり、ある意味で誰も経験したことのなり状況だけに油断は禁物です。
特に相場が薄くなる夏のシーズンでは何が起きるかはわからないのが正直なところですから長くポジションを持たないというのも一つの防衛策になりそうです。やはりストップロスをこまめに入れておくというのが資金を守る防衛手段といえでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)