24日、次の日曜日トルコでは大統領選と議会選挙が同時に開催されます。足元の予測では大統領選には6人が立候補しており、うちイスラム系与党・公正発展党(AKP)の現職、エルドアンが優勢となっているようです。
各種世論調査では、エルドアンが50%前後、インジェが20~30%台前半、アクシェネルが10~15%、デミルタシュが10%前後となっているようですが、これでエルドアンが過半数を確保できない場合にはっ決選投票で番狂わせもありうる状況です。
本邦個人投資家が注意すべきはエルドアンの勝利
まずスワップポイント狙いでトルコリラ円をロングにしている本邦の個人投資家がもっとも気をつけなくてはならないのがエルドアンの勝利ということになります。
彼はかねてから中央銀行による利上げに猛烈に反対していますので、今回完全な形となるトルコの大統領体制下でトルコ中銀が大統領の指示を受けざるを得なくなった場合、まさかの利下げということもありうる状況です。
そうでなくても米国の利上げが進むなかで新興国から資金が大量に米国に戻ろうとしているわけですから、ここでまさかの利下げへ逆転といったことになるとトルコリラは対米ドルで激しく売られ、対円でもさらに沈みこむリスクがでてきてしまいそうです。
またほかの候補者が勝利した場合どのような政策を打ち出すのかよくわからないところもあり、エルドアンが負けたからすべてが解決とはいかない点にも注意が必要です。
しかもタイミングとしてよくないのは開票が25日の東京タイムにぶつかることから、結果を巡って相場が激しく動くのは東京勢の売買タイミングにぶつかることから、相当な注意が必要になりそうです。
強制ロスカットなら即日、追証の問題なら翌日に劇下げ
本邦個人投資家のトルコリラ円ロングはどうもみなさん相場が下落したところで思い切り買い向かうようなのでポジションがパンパンになっているケースが多く、大きく下げ始めると追証を求められても入れられず、そのまま強制ロスカットの憂き目にあうことがかなり多いようです。
比較的スワップポイントの高いくりっく365では追証が求められて、入金ができないとどの業者を使っていてもまったく同じ時間帯にバッサリロスカットが履行されてしまいますので、一段と相場が下落する要因となることから来週の月曜、火曜といった東京タイムの時間帯はかなり注意することが必要になりそうです。
本来ならば一旦損切をして再度入りなおすのがベストな取引となりますが、総選挙後トルコリラはもう一段安値を試す展開となる可能性が極めて高いことから、この際ポジションをどう整理するかについてはかなり真剣に考える必要があるのではないでしょうか。
確かに年利で16% などという高利率でスワップポイントがつくのであれば魅力的に見えるのは間違いありませんが、さすがに相場自体がこれだけ下落するとなるとそもそもレバレッジをかけて売買することに無理がありますから、ポジションを保有しっぱなしという投資のやり方自体が変更を求められる時期にさしかかってきているということができそうです。
新債券の帝王ジェフリーガンドラックの予想では2020年以降米国の10年債金利は6%近くにまで跳ね上がるのではないかという驚愕の発言も飛び出しており、こうなると迂闊にリスクの高い通貨を買うよりもドル円で運用したほうがいいというのが市場の趨勢になりかねず、ここまでの金利が上昇する過程では新興国通貨が壊滅的な打撃を受けることは間違いなさそうな雰囲気になってきています。
本邦個人投資家は世界的に見ても金利を受け取る投資法が大好きなようですが、そもそもスワップの投資術の具体的なやり方を考え直す時期に来ているのではないかと思われます。その一旦がトルコリラの投資にも見え始めているといえるのです。
(この記事を書いた人:今市太郎)