本日9時からシンガポールで米朝首脳会談が開催されます。事前の発表では通訳しか同席しないトランプ対金正恩の一対一会談になるようで和やかなムードになるのかさっぱり見当がつかない状況ではありますが、前回の南北の会談を見ていますと見かけ上は妙に近しい雰囲気が演出されることになるのだろうと思います。
週明けの東京タイムはさしたる理由もないままにドル円が買いあがる形となっておりロンドン、NYともにその地合いを引っ張っていますが、東京タイムで上昇のきっかけをつくったのはシンガポール勢ということで、楽観ムードを演出しているのかなにか事前リークをつかんでいるのか様々な憶測が渦巻いているようです。
悪い話しは出てこないと思うもののトランプツイートに注意
今回は特段悪い話しがいきなり登場するとは思えませんが、何分一対一会談が先行するだけに、またしてもトランプがなにか呟けば市場がそれなりに反応することが予想されることから注意が必要であることは間違いない状況です。
ただし、NYタイムでも200日移動平均線がドル円の頭を抑えていることに変わりはありませんから、よほど前向きな何かがでてこないかぎり和やかな雰囲気だけでは買い進まれないものと思われます。
そもそも北朝鮮にどれだけの核保有があるのかの部分から調べて確定していく必要があるはずですから、リビア方式にするしない以前の問題が相当残っていることを前提にして考える必要もありそうです。
またトランプがツイートで何を言い出すのかも全く想定できないだけに、会談後ネガティブな話が顕在化してくるようですと一転して相場が下落することも十分に考えらます。
日本時間の午後8時にはトランプは帰国の途につくとされていますので、なにか飛び出すとすれば日本時間の午後の時間帯になりそうです。
今回は事前には特別声明や合意事項の取り決めなどが出てこないことも米国政府が示唆していますから、単純に一回目の会談が終了したというニュースヘッドラインだけで終わることも十分に考えられ、意外に相場に与える影響がほとんどないという可能性もありえます。
いずれにしてもこの会談を見合いにして売買をしかけるのはかなり危険ですから、結果を見てから対応するのが賢明な方法になるのではないでしょうか。
中銀政策決定会合が控えるだけに楽観相場は続かない
米朝首脳会談を巡って妙に楽観的なムードが広がったとしても、これが週後半にそのまま続くとは思えず、ここで利益が出ても一旦リカクして様子を見るといった用心深さが必要になりそうです。
G7の会合結果に関してはあまり市場は大きく問題視していないようですが、中身は正直なところズタズタの状態で、特に米欧に関しては相当に険悪な状況に陥ってしまったことは間違いないようで、こちらは現実的な対立の構図がほどなくして明らかになってくるものと思われるだけに今後の推移を見守る必要がありそうです。
投機筋にとっては政治的なイベントは仕掛け売買をしにくいものとは思われますが、アルゴリズムが関与しはじめるとニュースのヘッドラインだけでも過剰に相場が動いてしまうことが多いことからオーバーシュート気味の展開になることも注意が必要になりそうな一週間です。
日経平均は週明け続伸となりましたが、NYダウのほうは序盤堅調性を保ったものの、結果的には7.58ドルの上昇にとどまり、上げ幅を縮減して取引を終えているだけに米朝首脳会談が猛烈に楽観的な雰囲気を相場にもたらしているわけでもなく、また米国の株価にはそのほかの材料が影響していることが窺われます。
日本や韓国にとっては非常に関心度の高い米朝首脳会談ですが、欧米の反応がどの位でてくるのかも興味のあるところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)