いよいよ来週は米朝首脳会談、FOMC,ECB理事会と日替わりで大きなイベントが立て続けに開催されますが、目先の材料は豊富ながら足元では大きく動くテーマがなく、ドル円を中心に相場は小動きが続いています。
昨日は東京タイムに110円にタッチする瞬間がありましたが、滞空時間は実に短く、その後は上値がどんどん重たくなる状況で、やはり110円台は相当売りが並んでいることが予想されます。
ただ、今のところ下値も堅く、東京タイムでは109.700円すら割れない時間帯が多くほとんど値幅がないことからスキャルピングでもエントリーするタイミングがなく、欧州時間以降に集中して取引きしたほうが効率的とさえ思えるような状況が延々と続いています。
メジャーSQにむけての作為的相場調整に注意
今週東証はメジャーSQを迎えますが、だいたい毎回金曜日に向けて水曜から木曜に投機筋による先物を利用した下げが作為的に登場することが多く、それに合わせるようにドル円も東京タイムで下落するリスクが高まりますので、とくに本日と明日については注意が必要になりそうです。
米国は小型株が堅調で小型株指数であるラッセル2000は最高値更新が続いている状況ですが、東証マザーズのほうはメルカリの上昇を控えて、資金調達のためなのか売りものが非常に増加中で新たな資金よりも既存の株式を売却することで、メルカリ株を買おうとする動きがあることから予想以上の低迷が続いています。
世界的に過剰流動性が高いものの米国に還流しはじめている
米国は先行して金融引き締めを行っていますが、日欧の中央銀行が引き続き緩和措置を維持していることから世界的に過剰流動性は高く推移しているようで、余剰資金の運用難から米国の株価が上昇傾向にありハイテク株はまた一段と上昇を加速しそうな雰囲気になってきています。
その一方で米債に対する根強いう需要もあることから、金利はほとんど上昇しない状態が継続中で、米株にとっては極めて良好なゴルディロックスが継続しているといえますが、ドル円は債券金利の頭が抑えられていることから簡単に110円台を上伸していかれない相場が継続中です。
ただこのままの状況でFRBが利上げを急げば短期金利だけが持ち上がって逆イールドになる可能性が極めて高くなることから金融株などへの影響が懸念されます。
行き場を失った資金はかなり米国市場に戻りつつあるようで、米国の株式相場だけは堅調な状況が続いてはいますが、明確なトレンドは出ておらず、相場への参入しずらさが小型株の上昇を誘っている可能性もありそうです。
6月FOMC以降市場が癇癪を起さないか注目
6月のFOMCにおける追加利上げの可能性はすでに市場が完全に織り込んだ状況になっていますが、米国の金利が上昇していることで新興国市場には引き続きそれなりの影響が継続中で、果たして今回の利上げ以降に米国が緩和を中止したときにみられたようなテーパータントラム(市場の癇癪)がみられることになるかどうかにも注目が集まります。
米国債を購入してもドル円をロングで保有していても一定の金利が手に入るわけですから、リスク資産を売却して米国に資金が集まりやすくなるのは当然の状態で、アジア圏をはじめ新興国の相場がどのように反応していくかには相当な注意が必要です。
いまのところ97年のアジア危機のような状況に陥ることはないといった見通しが出ていますが、先般のイタリア国債の金利上昇にみられたように一旦相場が動き出しますと流動性パニックを引き起こしてオーバーシュート気味に展開することは十分想定できるだけに安心しきるのは禁物です。
今週は来週以降の相場材料に備えて、市場は比較的おとなしい動きに終始しそうですが、嵐の前の静けさにならないことを願いたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)