読み込み中...7日にトルコ中銀の政策決定会合が開かれます。4月定例会合で0.75％の利上げが実施されたことにより13.50％だった政策金利のひとつの後期流動性貸出金利は、５月23日の臨時会合で３％引き上げられ、16.50％と一気に3%も上昇することとなりました。
7日にさらに追加の措置がでるのかどうかが注目されるところですが、エルドアン大統領は利上げに強く反対し続けていることから、24日の大統領選で再選されればいきなり利下げ断行ということにもなりかねず、ここで迂闊に買いで臨んでいいものかが大きな判断の分かれ目になりそうな状況です。
この高金利は相当な魅力だが持続性が判断できない
すでに国内の店頭FX業者ではトルコリラ1万通貨で1日100円のスワップポイントの付与をはじめていますから、10万通貨保持していれば1か月で3万円を超えるスワップポイントが付く勘定ですから相場が下がらなければかなりいい利益を確保できることになります。
しかし今月末にエルドアンが再選背れて無理やり利下げを断行した場合にはトルコリラ円自体の価格が下がって20円割れすら現実のものになるリスクも残っているのです。
米国が金利を上げようとしている時期ですから、徐々に低金利時代は終焉を迎えようとしている状況ですが、それでも今どき16.5%の金利が登場するということはそれなりの理由が存在するわけで手放しに喜んで買い向かう時期とはなかなか判断できないのが正直なところです。
スワップの事だけ考えますと、いまどきドル円1万通貨でも60円近いスワップを付与する会社がありますから、この金額だけで買い持ちしていくのには相当慎重にならざるを得ないといえます。
ドル高が進行すればエルドアン落選も
足元ではエルドアンがしきりに国民に外貨の余剰資金をトルコリラに換金するように呼び掛けるというかなり断末魔の状況が続いているようですが、これ以上ドルが上昇した場合、本当にエルドアンは米ドルのために落選しかねない状況になっているようで、大統領選でエルドアンが消滅すればさらに金利が上昇することもありえそうです。
つまり24日の選挙結果がはっきりするまでは拙速にポジションをもたないほうがよさそうな状況になってきているというわけです。実際ドル円のロングでもトルコリラの6割、安いスワップしかつかないところと比較すれば下手をすると8割近いスワップ付与が行われるとなるとあえてリスキーな新興国通貨に入れ込む必要もないわけで、個人投資家のスワップ狙いでもそうなるわけですから、もっと大口の投資となれば米国に資金が戻りやすくなってくることは容易に理解できます。
14日のFOMCでさらに利上げが行われ、しかも年間4回の可能性が高まることになれば、新興国通貨はさらに売られるリスクもあって6月はトルコリラにとっては正念場の月になりそうです。
とにかくもう3週間ほどの話になりますから、トルコ中銀政策決定、FOMC,大統領選挙をとにかくこなしたところで買いがワークするかどうかを見極めることが間違いない取引になるのではないでしょうか。
たしかにもともとの価格が安いだけに相場自体が安定すれば底値で買う妙味は十分に残されているといえます。ただ、価格が下がるからといって買い下がってポジションを多くするのはやはり危険で、一定のレベルまで下がったら一旦損切をして入りなおすぐらいの覚悟をもって臨むことが大切になりそうです。
今回のトルコリラ相場下落でかなりの日本人個人投資家が強制ロスカットにあって無理やり損切に追い込まれているようです。
相場自体が3割も下がってしまいますともうレバレジをかけて売買するようなものではなくなりますから、そのあたりの撤退ポイントについても最初から決めておく必要がありそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
