いよいよ今週後半から6月相場ということになりますが、今年も米国の株式市場はSell in Mayだった可能性が高くなりそうで、今後の相場の動きに注意が必要になりそうです。
原油価格の下落が6月の株相場を直撃する可能性
5月のNYダウは昨年のように大きく上昇することはありませんでしたが、のらりくらりと推移するゴルディロックス相場が継続し、大きく下落することもないままに5月の取引を終えそうな気配です。
しかしながら足元ではWTI原油の先物価格が下落を始めており、これが株式相場に影響を与えそうな気配になってきてます。
この背景には25日、サウジアラビア、ロシアのエネルギー相がOPEC加盟国・非加盟国の産油制限合意を緩める可能性を示唆する声明を表したことが色濃く影響していますが、これまで投機筋がかなり買い上げてきただけに、ここからさらに先物価格が下落することになればかなりの投げがでて相場が一段と下がるリスクが高まっている状況です。
Data Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/quote/CL1:COM
ドルと原油先物価格はすでに逆相関がすっかり切れてしまい、原油価格が下落しても特段ドルだけが上昇する動きにはなっていないようですが、米国株式市場のほうは原油価格が下落すればそれに呼応するように相場が下値を試すことになる可能性がでてくることになりそうです。
原油安はFRBの利上げにも影響か
トランプは中間選挙に向けてガソリンの価格を上げたくないと思っているようですが、これにサウジアラビアが協力する形で原油価格が下落した場合にはインフレ圧力が下がることから、FRBの7月以降の追加利上げのスピードにも大きな影響を与えることが予想されます。
利上げが進まなければドル円も債券金利が下落することが一旦上昇が止まることになりますから、6月は意外にドル安円高が戻ってくる可能性も考えておく必要がありそうです。
例年6月から8月にかけては米株はアノマリー的に下落し易く、しかも中間選挙年は9月以降になるまで相場が活性化しないことが多いため、結果的に今年もSell in Mayであったと言えるのかもしれません。
相場全体に方向感が薄れている
足元の相場状況はもうひとつ方向感が欠けている状況で、米国の株式市場はむしろドルが上昇することが相場をけん引すると見る向きも増えてきているようです。ただここからドル高がどこまで進むかもかなり不明確な状況で、投機筋にも結構な迷いがでているようです。
相場に変化が現れるとすればやはり14日のFOMC以降になりそうで、シーズナルサイクル的にも変化がでやすいだけに6月の相場の動きには日頃に増してより一層の注意が必要になりそうです。
ユーロは一貫してドルに対しても円に対しても弱い状況が続いていますが、イタリアの政局不安が加算されていることからもう一段ユーロ安が進む可能性は十分にありそうで、ユーロ円が下落するとドル円はドル高円高の綱の引き合いから下落するリスクも考えておくべき状況です。
だいたい方向感がはっきりしない時期はぼんやりとポジションを作ってみても儲かることが少ないので一旦様子見としたほうが得策なケースが多くなりますが、現状の相場はとくに不透明感が強いのが特徴で、為替で売買するならできるだけ短い時間足で方向感が特定できる通貨ペアを選択することが大切になりそです。
ドル円に関しては投機筋にも相当迷いが生じているようで、結果的にレンジ相場入りしてしまうのかも知れませんが、一旦は方向性を見極めてから参入するのが正しい売買になるのではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)