いきなり大きく上昇したところから一転して下落に転じてしまったドル円の一週間も週明け日米が休日ということもありNYタイムの午後はほとんどまともな取引がなく、119.500円レベルで週の取引を終えています。
週明けにいきなり111.395円まで上伸し、22日にも再度111円台の上値を試そうとしたドル円でしたが23日からは逆に東京タイムから崩れ始め1日であっという間に1.5円下落する動きになり、さらにトランプの米朝会談中止宣言で109円割れまで下値が加速する週となってしまったわけです。
日足でみますと多少凸凹を間に挟みながらも3月最終週から上昇を続けてきたドル円が確実に今週その上昇トレンドを終えた形にみえます。
一般的にはトレンドラインというのは11週(55営業日)を超える時間帯をカバーして引いたものでないと信用できなとされていますが、今ちょうど45営日を終えたところでこのままトレンドが終了するのか再度上昇するのかはあと5営業日、つまり来週一杯をみてみないとはっきりわからない部分を残しているとも言えますが、足元では一旦上昇は終えているようにも見え、レンジに移行するのか下落するのかが注目されるところです。
IMMのレポートを分析してみると・・
CTAのアルゴリズムが暗躍しているらしいというお話はすでにこのコラムでもご紹介していますが、IMMのポジションレポートをみますと、その中身が徐々にわかってくることになります。
Data CME
25日に発表された22日分のデータではこの一週間でドル円の買い玉が売り玉をしのいで増加しえ前週のドル売り円買いから円売りドル買いにいきなり転換したことがわかります。
ただ22日時点では円売りが増加したのと同時に円買いも出て大口投資家のポジションは売りも買いもパンパンだったことがわかります。とはいえ一旦21日までに猛烈にドル円に買いが入ったことだけは確認できる状況です。
面白いのはこの表の小口投資家の動向で、市場ではだいたいこの小口投資家はつねに売買の方向感を間違え逆張りの指標となるのですが、これが確かに22日時点では大きくドルショートに転じており、その後相場が確かに下落したことがわかります。
今週の動きの顛末は来週のレポートの開示を待たざるを得ませんが、相場が大きく買いあげられてもその中にショートカバーがかなり含まれていますと損切が終わったあとは上昇が続かず、下落しはじめたところでトレンドフォローのCTAのアルゴリズムのような存在が反対売買を猛烈にしかけると、今度は一転してロングの投げが次々と出てストップロスを誘発してあっという間に109円中盤まで下げる展開になってしまったことがよくわかります。
米朝会談の中止はまさにその状況に追い打ちをかけるネガティブなネタにはなりましたが、オーバーシュート気味に109円割れまでは試したものの事前にトランプがこうした状況を示唆していただけに大きく下落することなく一旦は戻して週の取引を終えたことわかります。
足元はトレンドのない状態
今週ドル円を買い持ちして痛い目にあったトレーダーは、ここから徹底して戻り売りを仕掛けてくることになるのでしょうが、現状では簡単に110円台に戻れなさそうな雰囲気のドル円もショートが溜まり過ぎるとそれだけでショートカバーから上伸することが考えられ、売っても下がらなければ一旦やめて様子を見るといった臨機応変な対応が必要になりそうです。
実際金曜日の市場でもショートが溜まり過ぎて東京タイムに一旦109円70銭を超えるところまで巻き戻しが出ていますが、さすがに3連休を控えて買い向かう向きはほとんどなくNYタイムの入り鼻には109円台前半にまで下落する動きを見せました。
したがってショートのたまり具合を見ながら大きく引き付けて売る方法がワークする一方でショートカバー狙いで買ってみるのも利益がうまくやれば利益が出せる状況で、相当チャートの裏側に潜んでいる市場参加者の心理とポジション状況を読み込むことが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)