23日の東京タイムからドル円の相場をご覧になっているトレーダーの方は、なぜこの日ドル円があっさり110円を割り込んで109円半ばまで下落したのかを納得できている方はかなり少ないのではないかと思います。
確かに111円割れで110円台後半から東京タイムをスタートした相場は仲値のあとからどんどん下落し一旦110.500円付近で止まりましたが、その後午後2時半ごろから下落が進む形となり欧州時間には一気に下落をはじめ、200日移動平均線のある110.200円を割れてからは相当な投げも入ったのでしょう、下落が止まらなくなり、なんと午後6時半過ぎには109.557円まで下値を試す動きとなりました。
その後NYタイムにはショートカバーがでて今度は下値を切り下げる展開となりFOMC議事録が登場した24日の午前3時には110.331円にまで上昇しています。
かなりこれでショートも切らされたことから翌24日の東京タイムの110円割れの109.900円レベルではそれなりの買いも入ったようですが、北朝鮮がまたしても米朝首脳会談を見合わせる可能性があるかのような発言をしたという報道をきっかけにして、ドル円は下がり始め109.449円まで下落する相場展開となっています。
もちろん日経平均が下落しているといった材料もありますし、23日はクロス円が全般に下落したことからドル安のみならず円高も加速してしまったことがこうした動きを顕著なものにしたともいえます。
しかし、さすがに足元に登場した材料だけではやり過ぎの感があり、個人投資家は相場の流れについていくしかないとは言え、さすがにやり過ぎなのではと納得のいかない方が多くいらっしゃるのは御尤もなことだと思います。
実はこの動きにはCTAのアルゴリズムのトレンドフォローの売買が深く絡んているようなのです。
CTAのアルゴリズムが原因との噂も
この手の話の事実というのはなかなかわからないものなのですが、市場ではCTAが利用しているトレンドフォローのアルゴリズムが大きな原因になっているのでは以下との観測が高まっています。
実は111円台中盤をドル円が目指したときも米系のヘッジファンド勢が多くのドル円のショートをコストの問題からほどき買いしたことから、相場がショートカバーで上昇したのに乗じて一気にCTAのトレンドフォローのアルゴリズムが買い上げたらしいとの観測が高まっていました。
そして今回110.300円を明確に抜けたあたりからこのアルゴリズムが猛然と稼働し一気に早朝の価格から実に1.3円以上のドル安円高を示現させてしまったようなのです。
確かに一気に下げてもそこからさらに突っ込む動きがなくいとも簡単にまたショートカバーがでてしまうというのは非常に裁量取引をしている個人投資家にとってはやりにくい相場となっていることは間違いありません。
このドル円相場、チャート的には一旦上昇が終了したかのようにも見えますが、材料がはっきりしないこともあり、再度ドル円が上昇に転じるリスクも否定はできません。
巷ではヘッジファンド勢がさらにドル円の売りもちを解消すのではないかとの観測も流れており、そうなるともう一回上を試して6月に突入するといった不可解な動きも想定しておく必要がありそうです。
なにより米債10年債の利回りが3%を切り始めたこともドル円上昇のサポート要因を欠く結果となっていますが、こうした一つ一つのエレメントが一時的なものなのか一旦終了なのかと判断するかでここからの挙動の何についていくかはかなり分かれることになりそうです。
米株も大きな上昇はなく持ち合い相場のような展開が続いていますが、5月28日ごろからドル円は一目均衡表の日足の雲がねじれることから、この影響がどうでるかも気になるところです。
材料的には大したものがあるわけではないのですが、ここ数日の相場で結構やられてしまった個人投資家の方も多いのではないでしょうか?一旦方向感がなくなったら少し様子を見てから再エントリーするといった冷静なトレードも必要になりそうな時間帯です。
(この記事を書いた人:今市太郎)