為替市場はNYタイムの終盤にさしかかって徐々にドルが売られ債券金利も低下して推移しています。
これはペンス副大統領に続いてトランプ大統領が米朝首脳会談が実現しないことについて言及したことが影響しているようですが、2人の首脳が同種の発言を口にしたことで本当に実現不能になる可能性が出てきていることに注意が必要になりそうです。
トランプ政権は6月12日に向けて記念コインまで発行したわけですが、これが単なる北朝鮮への脅しなのか、もはや開催不能に近い状態に陥っているのかを見極める必要がありそうで、当分ドルの上伸を抑える材料になることも考える必要がありそうです。
ただ、交渉にあたっているポンペオ国務長官は実施に自信をのぞかせる発言をしており、トランプ政権内で発言内容が異なるところも気になります。
いきなり発表されるよりはまし?
5月中盤に入ってからいきなり北朝鮮が南北の会談を延期するなどしてどうも雰囲気が変わってきていることは市場もそれなりに認識しはじめていますが、現実に開催中止ともなればドル円で110円割れもありえそうな状況で、なんともやりにくい相場になってきています。
週明けドル円は一旦111円台に戻しましたが先週に比べると明らかに上値が重くなっており、気がつくとNYタイムに向けて何度も110円台に押し戻される展開が続いています。
とはいうものの110.800円が大きく割れることもなく、下値はそれなりに買い向かう向きが多数存在していることか結果的に狭いレンジの中で上下の振幅をくりかえしている状況です。
ドル円15分足
22日東京タイム明け、ロンドン勢の参入時間帯にショートカバーから一旦大きく噴き上げたドル円でしたが、これが終日の高値でその後は110円台で推移する時間が長くなってきており、買い向かっても大して上昇しない時間が長くなりはじめています。
とはいえ市場はあいかわらずショート気味の状態で、売ってもなかなか下がらないのもまた事実で、大きく上げも下げもしない、面白くない相場状況が続いています。
米朝首脳会談開催中止はいきなり発表されるよりは示現に市場にサラウンディングされたほうがネガティブなインパクトは小さくなりそうですが、当分はドル円のロングには確実にストップロスを設定して無闇に損失に巻き込まれない防衛策をとることが必要になりそうです。
ファンド勢の一部は米債金利上昇を予測してドルに強気
ヘッジファンド勢の一部は米国10年債利回りがここからさらに上昇することで、一時的にせよドルがもう一段上昇することを見込んでいるようで夏休み前のひと稼ぎをこのシナリオの実現に賭けているようにも見えます。
米国株式市場はNYダウが週明けに2万5000ドルを回復していますが、長くは続かず弱くはないものの強くもないというなかなか微妙な状況を継続しています。
例年5月に一旦ピークをつけて6月以降リーズナルサイクルとして下落しがちな米株市場ですからこの程度の動きでもおかしくはありませんが、市場に明確な方向感があると自信をもっていえる雰囲気ではないのもまた確かです。
ここからのドル円はとにかく引き付けて買うとしてもどこで下落をはじめるかはわかりませんので、トレーリングストップを活用するなどして下がり始めたら一旦はリカクして様子をみながら先に進んでいくといった用心深さも必要になりそうです。
とにかく長い足から短い足まで見て一定のトレンドが出ている場合には順張りでついていくことにし、方向感がわからなくなったらリカクするなどして様子を見るといった慎重な売買を続けていくことしか解決策はなさそうです。
上がる、下がると断定せずにあくまで相場の流れについていくことで対応していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)