読み込み中...トルコリラの下落が止まりません。とくに対ドルで過去最安値を更新中で、当然のことながらトルコリラ円も下落しておりすでに24円台に突入しています。
理由はドル高進行による新興国通貨ならではのトルコリラ安に加え、金融政策にあれこれ口を出しとくに金利の引き下げを中銀に強要しようとするエルドアン大統領の存在を金融市場が酷く嫌気していることが大きな理由です。
6月24日に前倒しで行われる大統領選挙で同国が完全な大統領制となった場合、かつエルドアン氏が再選を果たせば結果的にトルコ中銀はエルドアンの言うことを聞かざるを得なくなるリスクが高まっており、状況次第ではまさかの金利引き下げからトルコリラがさらに売り進まれる可能性がでてきていることが危惧されます。
※トルコリラ円月足推移
このまま下落すれば対円で21円台も
トルコリラは対ドルでの下落がもっともきつくなっていますが、円に対してもかなりの勢いで下落が継続中で、このままいきますと6月後半にトルコリラ円が21円台に突入する可能性も高くなっています。
スワップポイント狙いで長期にトルコリラ円を運用している本邦の個人投資家が、さすがにこのまま「ドルコスト法」などと言って大幅な下落トレンドの途上にある、トルコリラ円を毎月ナンピンするように買い集めた場合には、いよいよ価格自体がスワップポイントを乗りこえかねない状況に直面していることがわかります。
冷静に月足チャートを見ますと2014年末に53.96円をつけてから延々と下落を続けているわけで20か月移動平均線を常に下回っている状況です。
今年の1月からだけを考えてもすでに6円以上の下落で、ほとんどレバレッジをかけない状態でもスワップで損失を埋められない状況が近づいていることがわかります。
こうした下落局面でも買いでコストを下げる努力をしていった場合には、結局強制ロスカットにひっかかって何も残らないリスクだけが残ることから、かなり厳しい局面に追い込まれてしまっていることがわかります。
市場参加者ほぼ全員が買いのトルコリラ円
トルコリラ円はそれでも金利上昇中ですから、ほとんどの市場参加者が買いで参入しており、相場が下げ始めると完全に流動性を失って想定以上に相場が下落しやすくなることも考えておく必要があります。
したがって流動性パニックの状況次第では21円をさらに下回る完全なメルトダウン状態に陥ることも覚悟せざるを得ない時間帯で、できることなら含み損を抱えてこのまま怯えるよりも一旦損切をしてこれ以上損失を抱えないようにする勇気が必要になってきていると思われます。
現状で損切りをした場合、投入原資がどの位確保されるのかについて一旦細かく計算してみることも必要で、ここからの1か月ポジションを放置した場合さらに損失が拡大することも十分に想定して判断することが必要になります。
これまで一時的に大きく下げた局面で買いをいれておけば、それなりにスワップを獲得してワークしてきた時間が長かったトルコリラ円ですが、どうも今回ばかりはそんな悠長なことを言っていられないところにさしかかってきているようです。
スワップ狙いのFX売買は金利大好きで、かつストップロスをおかずに延々とポジションを塩漬けするのが既に国技の域に達している本邦の個人投資家にとってはスワップ狙いとしてもっとも高い興味をもつ通貨ペアとなっています。
しかし、ドルの金利が上昇している局面では、新興国通貨を購入してスワップを獲得するというスキーム自体が大きな変化に直面していることを再認識せざるをえない状況といえます。一旦相場から撤退して証拠金を守るというのも重要な投資戦略であることを忘れてはなりません。
（この記事を書いた人：今市太郎）
