とうとう111円を超えたドル円ですが、18日のNYタイムはこれと言って大きな指標もなく週末ということもあって米10年債金利が下落したことにリニアに反応してドル円も一旦110円60銭台まで下落したものの、そこからの下値は堅く結局70銭台まで戻して週の取引を終了しています。
債券金利の下落もさることながらユーロが対ドルで下落したことからユーロ円も連動して90銭近く下落したことに上値を抑えられた感があります。
ドル円はまだ上値余地がありそうな状況
ドル円はさすがに短時間で111円まで駆け上りましたから、個人的にもレベル感からいえばやり過ぎで、こんなに高いところから買って大丈夫かと思う部分もかなり強いです。
しかし、ファンド勢がコストの問題から売りを手放したり、個人投資家が同様のレベル感から戻り売りでかなりしつこく参入してきているところを見ますとよほどの材料が伴わないかぎり簡単に下落するとは思えない状況で112円方向へさらに上伸する可能性を考えておく必要がありそうです。
とはいえ111.400円レベルは前回正月明けから下落ていった段階でかなり揉んだ水準だけに上げても一旦ここで止められるかことは考えておく必要がありそうです。
ただ、相場にオーバーシュートはつきものですし、CTA系のファンドはアルゴリズムを駆使して買い向かっているといいますから、まかり間違って112円を超えることもない話しではありませんので、日足以下の時間足でトレンドがでているかどうかは常にチェックしておく必要がありそうです。
6月は12日にやるのかやらないのかよくわからなくなってきた米朝首脳会談、そして翌日(実際には翌々日午前3時)にほぼ100%利上げ織り込み済みのFOMCが予定されており、そこまでは相場が突っ走る可能性もでてきています。
本来はサイクル論的に言えば3月の底値から40営業日以上上昇しているわけですから、先週の金曜日に大きく下値を切り下げて下落に転じればここからは下落サイクルにはいるリスクも指摘されていましたが、200日移動平均線にも届かないまま終了していますのでテクニカル的にも上方向を目指しそうな状況となっています。
今回のドル円の上昇は決定的な要因があって上昇トレンドが出ているとは言い難い、もっぱら需給のなせる業となっていますが、それだけに上昇に納得いかない個人投資家は上げに順張りでついていくことができず、もっぱら高値を逆張り出迎え打つ売買に終始しているため、これがまた上値を誘う形になってしまっているようです。
18日の東京タイムもかなりショートで捕まった向きが多かったようで戻り売りしても下がらない時間が酷く長く継続することとなってしまいました。こうしたポジションの傾き具合にも注意して取引していきたいところです。
ドル円の反転は米株の大幅下落がきっかけか
とはいえ、為替相場は未来永劫に上昇するわけではありませんから、必ず反転のタイミングが訪れることになります。例年6月以降は米株も下落時期にさしかかりますし、金利の上昇がさらに進むことになればどこかで株式相場が嫌気する時期が必ずやってくることになります。
足元ではそれを期待して売り待ちするのはさすがに時期尚早ですが、6月に入ったところ、とくにFOMC以降ではそうした反転相場が到来することに相当注意が必要になりそうです。
今のところ忙しくて気が回らないのかトランプも為替には具体的に言及していませんが、対ユーロでドルが非常に強含んでいる状況には必ずどこかで釘をさすことになると思われますし、111円台を上抜けたドル円を快く思うはずもありませんから、なにかツイートされると状況に大きな変化がでるリスクもありそうです。
ここ2週間あまり本邦の個人投資家にとってはかなり納得のいかない上昇しすぎの値動きとなっているのがドル円ですが、相場感が当たるかどうかを気にするよりも利益を確保するほうを優先してこの時期にしっかり収益を積み上げておくことをお勧めしたいと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎)