米10年債金利が上昇しはじめて止まらなくなっています。もちろん上がり方はかなり軽微なものでいきなり4%に突っ込むといった激しいものではありませんが、すでに3.115%に達しており、市場に大きく変化が現れるのではないかと市場で噂されている3.2%も目前の状況です。
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ただ、さすがに米国株式市場はこうした状況で上伸が抑えられるようになっており、市場では債券きり高を意識する向きが増えていることも見て取れます。
その一方でVIX指数は2月の時のように大きく上昇しているわけではありませんから、市場参加者の危機感が高まっているわけではなく、VIXが跳ね上がれない限り10年債金利はまだまだ上昇し、ドル円もそれについて上伸しそうな雰囲気になりつつあります。
17日の東京タイム終了後に急激に上伸したドル円はLondon Fix直後に110.857円をつけ、その後のNYタイムは110.600円を割り込まずに推移して、110.700円台前半でアジアオセアニア時間に突入しています。
日柄的には上昇がはじまってからほぼ1か月半近い時間が経過していますから、ここで一旦上昇が終わって下方向に押し返されるのか、あるいはこのままさらに上昇を継続するのかに非常に関心が集まるところです。
週末の終値に大注目
こうなると今週末のNYタイムの終値がどうなるのかが気になります。このまま日足の200日移平均線が110,200円を超えたまま越週することになれば、さらに週明けから上伸することが期待されます。
ドル円日足 200日移動平均線市場では、110.300円レベルから今頃になって武田のM&A案件の買い切り玉が登場しているという話もあり、簡単には下押しできなくなりつつあるようです。
ただ、111円に近い高い水準から買い持ちをするほど積極的に買い仕掛けしたいとも思えない状況で、市場にはリスク要因も満載ですから何かあればいきなり大きく下落することも常に意識した取引をする必要があります。
VIXが急上昇しない限り上昇についていくしかないか
市場がオーバーシュート気味に展開するのは為替の定石ですから、これで上昇がお仕舞いと勝手に決め込むのは逆に大きなリスクになりますが、その一方で為替はあくまで循環ですし、ドル円の場合極めて政治的に価格が形成されるという特別な事情を抱えていますから、チャートがどうであれ111円をさらに超えて上伸するのかどうかにはかなり疑問も残ります。
一昨年の11月につけた年間最高値の114,727円から今年の最安値の104.627円を結んだフィボナッチの61.8%戻しは達成しており、111円を超えたあたりでちょど3分2戻しとなりますから戻りのレベルとしてもかなりいいところに差し掛かっていることは間違いありません。
輸出勢はすでに9月分までの為替の手配は終えていますが、少しでも高いレートが利用できればダイレクトに業績につながるだけにここから上にもそれなりの売りが並びそうで青天井というわけにはいかないことが予想されます。
雰囲気的には大きく調整して週の取引を終了するようには思えませんが、これで今週終値として200日移動平均線を下回って終了した場合には、今度は来週以降下値を模索する週へと展開することも考えられるため、とにかく終値に注目したいところです。
今年は米国の株価も5月高値で「Sell in May」になるのかどうかは微妙な雰囲気になっていますが残り10日あまりで状況が変化するかどうかにも注目が集まります。
とにかくこうした相場になりますと予断をもって取引するよりはとにかくトレンドの少しでもでた方向についていくという柔軟な姿勢が結局利益にありつくもっとも近道となることは間違いありません。
このコラムでも様々な材料をご提供していますが、ぼんやりとした方向感は持ちつつも相場が動こうとするならその方向についていくのが得策で、自らの見立てを重視してもほとんど意味がないのもまた事実なのです。
(この記事を書いた人:今市太郎)