読み込み中...108円台から始まった前週のドル円でしたが、既に二回110円をトライしたものの、根強く上値で売りが上伸をブロックするとともに利益確定も見られて、結局110円を超えられないまま週の取引を終えています。
週明けからは再度上値を試しに行く可能性ももちろん残されますが、当面レンジか、あるいはすでに形成したダブルトップを下抜けることになれば、それなりの押しを示現するリスクも高まりそうです。
連休前からほとんど大きな押しもないままに110円まで上り詰めたドル円ですから、日柄的に調整局面に入ってもおかしくはない状態で、ドル高は依然として続いていますが、一旦本格的な調整局面入りした場合には108円を割れないかどうか、さらにその下ですと107円レベルまでの下落も視野に入れる必要がありそうです。
北朝鮮よりもイラン・イスラエルの激突を市場は心配
地政学リスクでいいますと、北朝鮮と米国の首脳会談は6月12日にシンガポールで開催されることが決まり、ポンペオ国務長官が再度北朝鮮入りするなどかなり事前にすり合わせが続いていることから、決定的な亀裂になって終わることはなさそうな雰囲気が強まっています。
むしろ市場が注目しているのはイランとイスラエルの衝突の激化で、イスラエルがイラン軍への攻撃をさらに強めることになるとリスク回避からドル円は円高に振れやすくなりそうです。
国内では北朝鮮のほうが大きな地政学リスクであるわけですが、グローバルでは石油の問題があることから中東のリスクのほうがはるかに大きく認識されているという点で本邦勢と海外勢の意識のギャップを感じさせられます。
投機筋は若干ドル円ロングだが大きく傾いているわけではない
CFTCが発表しているCME・IMMの投機筋通貨ポジションは5462枚のドルロング円ショートの状況で主要通貨に対するドル高を反映してドル円もロングを保有する投機筋が徐々に増え始めています。
ただ、実際の数字では円ロングが51812枚に対してショートが57274枚と結構円ロングも枚数が残っていることがわかり決定的にバイアスがかかった状態ではないことがわかります。
やはり市場では上に行くのか下に行くのかがはっきりしない状態であることをポジションが反映しているとも言えそうです。米国の株式相場も強い方向感があるわけではなく、毎日の値幅は大きくなっていますが、上げたり下げたりの繰り返しでトレンドが明確になっていない状態です。
日柄調整が続くとなれば5月はこの調子でずるずると行くことになるのかもしれませんが、例年の「Sell in May」といった傾向が強まるのであれば、一旦この先調整に入ることも予想されることからドル円も下方向への注意が必要になりそうです。
レンジ相場は意外に稼ぎやすい
正直なところドル円は今それほど市場で注目される存在ではなく、対ユーロ、ポンドにクロス円の状況に影響を受けやすい状況になりつつあるようですが、それほど大きな値幅を伴わないレンジ相場が継続している限りは意外に初心者には取引がしやすくなりますので、こまめに利益を積み上げる戦法て対応することがお勧めになります。
ただレンジ相場も時間が経ちますと徐々に上下幅の狭いものになることが殆どですから、明確にトレンドの出ている通貨ペアを見ながら臨機応変に通貨ペアを変えていくという工夫も必要になりそうです。
いまのところ高金利の新興国通貨に関しては底値を確認したわけではありませんから、月足、週足、日足とみてほとんどに下落トレンドが確認できるようなときには積極的に売買せずに様子を見るというのもかなり重要な判断になります。
方向がはっきりしないときに売買しないのはかなり利益をとれる取引の基本になってきますので、どちらに行くかわからないと思ったときにはあえて取引をしない努力も重要となります。
（この記事を書いた人：今市太郎）
